仕事で偽の自分を演じると心と体を病む!しかし、メリットのある演じ方もある!みたいな研究の話
その昔、「私生活で違うキャラを演じてると体を壊す!」みたいな話を紹介しましたが、このような「日々の暮らしで自分の本当の感情を偽るとどうなるのか?問題」をガッツリ調べたデータ(R)が出ておりました。
これはアリゾナ大学などの研究で、教育、製造、エンジニアリング、金融サービスなど、さまざまな業界の社会人を2,500人以上集めてに行ったもの。全員に対して「普段の仕事で同僚や上司とコミュニケーションを取る際に、感情をコントロールしてます? もし感情をコントロールしてるなら、どんな風にやってます?」と尋ねまくったんだそうな。
すると、まず第一のポイントとして、「仕事では違う自分を演じてます!」と答えた人は、大きく2種類の感情コントロール法を使ってたそうな。
- 浅い演技=とにかく他人に見えてるとこだけをポジティブに演じること。心の中では怒ったり悲しんでるのに、外ヅラだけは前向きに見せようとがんばるパターン
- 深い演技=自分が抱いている感情そのものを変えようとがんばるパターン。悲しい気分だったら、どうにかして楽しげな気持ちを盛り上げたうえで、相手とのコミュニケーションに挑んでいく
浅い演技が顔の表情だけをなんとか楽しげにしてるのに対し、深い演技はハリウッドのメソッド・アクターよろしく内面から変えちゃうわけですね。
で、さらに被験者のデータをまとめたところ、参加者はだいたい4つのタイプに分かれたそうな。
- 非役者=ほとんど感情を偽らない人たち
- 弱い役者=浅い演技と深い演技の両方を少しだけ実践してる人たち
- 深い役者=深い演技を使うケースが最も多く、浅い演技はほとんど使わない人たち
- 調節者=浅い演技と深い演技の両方を、かなりの頻度で実践してる人たち
全体の割合で言うと「非役者」の数が一番少なくて、残りの3つは均等な感じになってます。たいていの人は、多かれ少なかれ偽の自分を演じてるわけですね。
以上の話をふまえたうえでデータを深掘りすると、最終的にはこんな結果が得られました。
- 調節者や弱い役者は、おもに「自分の印象を良くしたい!」や「相手に取り入ってうまい汁を吸いたい!」のような動機で感情を演じることが多い
- 深い役者は、シンプルに「周囲の人たちともっと仲良くしたい!」という動機がメインで行動している
- 深い役者は、仕事を手伝ってもらったり良いアドバイスをもらったりと、周囲から手厚いサポートを受けるケースが多い。と同時に、他の3つのグループよりも、仕事の目標を達成する確率も高かった
- 調節者や弱い役者のように、浅い演技と深い演技の両方を使う人たちは心の体のストレスレベルが高く、特に調節者は心身の疲労感を訴えるケースが多かった
ってことで、仕事上のメリットが大きかったのは「深い役者」だけ。あとは多かれ少なかれ心身にストレスを感じ続け、幸福度が下がってしまう傾向があったそうな。
研究チームいわく、
深い役者は同僚たちと積極的に良い関係を築く目的で感情をコントロールするため、その努力から大きな利益を得やすくなる。いっぽうで、単純に笑顔だけを保つ行為は、短期的にはコミュニケーションを楽に進めるかもしれないが、長期的には健康や職場での人間関係を損なうことになる。
とのこと。どうせ違う自分を演じるなら、「ジョーカー」のホアキン・フェニックスぐらい徹底的に作り込もう!みたいな感じになりましょうか。
まぁそうは言ってもネガティブな感情をすぐにコントロールするのはかなり難しいんで、
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あたりを参考に「リアプレイザル」のテクニックに慣れていくのがいいのだろうなぁとか思うわけです。