「自信をつけるにはどうすればいいのか?」を世界13か国で調べたらわかったこと
「自信がなくて……」みたいなお悩みはよく聞くところ。世には「自信があればうまくいくのだ!」みたいな言説も多いので、このような悩みを持ってしまうのも仕方ないとこではありましょう。
かくいう私も昔は「自信があればなぁ…」とか思ってたりしたもんですが、近ごろでは、自信の有無は遺伝の要素も大きいし、トマス・チャモロ-プリミュージクの「自信がない人は一流になれる』にもあるように「自信なんてないほうがいい!」ぐらいに思ってますんで、この問題については悩むこともなくなりました。自信の無さはメリットでもあるんで、うまく活用していくほうが吉でありましょう。
が、一方で「自信がなさすぎる」のは確実に問題なので、こちらは積極的にフィックスしていくほうがいいわけです。「自信がなさすぎる」ってのはどんな状態かと言いますと、
- 少なくとも他の人たちと同じぐらい自分が価値のある人間だとは感じられない
- 概して、自分のことに満足できない
ぐらいの感じです。これぐらい自尊心が低いとさすがにメンタルに良くないんで、適切なレベルに調整していくのは重要かと思われます。
といったところで、新しい研究(R)は「自信をつけるための確実な方法はこれだ!」みたいな内容になってますんで、自信が必要以上にない方はご利用ください。
この研究は、過去に行われた「自信」に関する観察研究から53件をピックアップしたメタ分析で、4歳〜77歳までの男女46,000人以上のデータをまとめてくれております。調査のエリアは13カ国(オーストラリアとか中国とかドイツとか韓国とか)にわたっていて、その期間は20年近くにおよんでいるとのこと。
ここで、全体的にどんな調査が行われたのかというと、
- 参加者たちの人間関係の質を調べる(両親や友人との関係、恋愛関係、会社での人間関係など)
- 定期的にみんなの自尊心にどんな変化が起きたかを調べる
みたいになってます。すべての研究は、時間をかけて同じ人たちに繰り返し同じ質問をしてまして、人間関係の質が自尊心にどんな影響を与えるのかをチェックできたわけです。
それで、どのような結果が得られたかと言いますと、
- 社会的関係が良い人ほど、かなりの確率で自尊心が高くなる傾向がある
- と同時に、自尊心が高い人ほど社会的関係が良くなる傾向もある
- ほとんどすべての人間関係は自信の増加に関係があるが、恋愛だけは相関が見られなかった
- 人間関係と自信の増加は、すべての民族でみられた
だったそうです。恋愛だけは自尊心と関係なかったのがおもしろいですが、とにかく基本的には誰かとポジティブな関係を築くことができれば、自然と自尊心も高まっていくんじゃないの?ってことですね。研究チームいわく、
自尊心と社会的関係との間の相互的な関係は、ポジティブフィードバックループの効果が時間の経過とともに蓄積され、私たちが人生を送るにつれて大きくなる可能性があることを意味する。
とのこと。要するに、
- 親しい友人のおかげで自尊心が高まる
- 自尊心が高まったおかげで友情の質がさらに高まる
みたいなアップワード・スパイラルを描いてるようでして、いったん良質な人間関係ができれば、あとは自然に上昇気流に乗っていけるわけですな。
もっとも、この研究だと、より良い人間関係で自尊心が高まる理由まではわからんのですが、
- 他の研究だと、安定した社会的関係をもつと情緒が安定するから、結果として自尊心が育つことがわかってるよー
- 自尊心が高い人は身体的な愛情を示すし、もしケンカしても建設的な方法で解消するのがうまいよねー
って傾向は出てるんで、そこらへんが大きいんでしょうな。いずれにせよ「適切な自信の基盤は人間関係である!」ってポイントは押さえておきたいところです。