マインドフルネスの訓練で仕事はできるようになるのか?のメタ分析
「マインドフルネスはメンタルに良さそうだよなー」ってデータはいっぱいあるわけですが、いまだよくわからんのが「仕事の生産性は上がるの?」みたいなとこです。まぁメンタルが改善すれば仕事もできるようになりそうですが、「瞑想をすると逆に仕事のモチベーションが下がる?」なんて指摘もあったりして、まだ議論が残るとこではあるんすよね。
で、近ごろ出たメタ分析(R)は、「マインドフルネスで仕事がデキるようになる?」って問題を掘り下げてくれてていい感じでした。
これは「職場にマインドフルネスを持ち込んだらどうなるか?」ってのを調べた先行研究から56件を選び、2,472人分のデータをまとめた内容になります。具体的に調べたポイントは、
- 人生の満足度は上がるか?
- ストレスは改善するか?
- ストレスからの回復どは高まるか?
- 思いやりの気持ちは上がるか?
- 仕事のモチベーションは上がるか?
- 仕事の生産性は上がるか?
- 仕事の満足度は上がるか?
って感じでして、総合的なメリットについて調べてくれております。実験期間は2〜16週間ぐらいに広がってて、8週間のトレーニングが多め。実際にどんなトレーニングが行われたかと言いますと、
といったところです。介入の方法にはいろんな違いがあれど、基本的には「いまの状況を判断せずに受け入れるやり方を学ぶ」ってのがベースになってますね。
で、その結論を申し上げますと、
- マインドフルネスの訓練をすると、仕事の満足度や幸福は効果量0.32 〜 0.77の範囲で改善し、その作用は12週間が過ぎても続く
ということで、わりと良い結論が出てますな。さらに詳しく効果を見てみますと、
- 仕事へのモチベーション 0.53
- 仕事の生産性 0.35
- 仕事の満足度 0.48
- 主観的なストレスの改善 0.66(12週間後のフォローアップで0.77)
- 幸福感や人生の満足度 0.68(12週間後のフォローアップで0.40)
みたいになってます。まぁマインドフルネス系の研究は全体的にゆるいものが多いんで、もうちょい実験デザインが成熟していくと、数値は変わっていきそうな感じはしております。
とはいえ現状ではマインドフルネスの訓練には良い成果が出てるようでして、特に「ストレス改善」の数値が良い感じでして、こりゃあ職場の生産性アップのためにも推奨できそうな雰囲気っすね。
余談ですが、近年では「ワーキングマインド」(R)っていう「職場専門のマインドフルネスプログラム」も開発されてて、ハーバードでも使われてたりします。こちらはどんな内容かと言いますと、
- マインドフルネスの哲学的な側面の勉強
- マインドフルネスの心理学的・神経心理学的メカニズムの勉強
- 1回2.5時間のセッションを8回行い、1グループあたり12~25人で行う
- 参加者は1日10分ほど自宅でマインドフルネスの実践を行う(マインドフルネス瞑想、歩行瞑想、ボディスキャン、慈悲の瞑想など)
- ついでに、マインドフルなコミュニケーション(傾聴とか)
- マインドフルなチームミーティング(グループミーティングの前に1分間の沈黙を行う)
みたいになってます。気になる方は、ここらへんもディグってみるといいんじゃないかと。