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今週末の小ネタ(新型コロナエディション):自宅待機の重要性、大気汚染と新型コロナ、ウイルスの音楽


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 またも新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回もそこらへんのまとめなど。
 

 

新型コロナをコントロールするためには、どれだけの人が自宅待機を守ればいいのか問題

「人に近づくな!」ってのが新型コロナに立ち向かう基本なのは間違いないわけですが、では「この対策は全体の何割が実践すればいいの?」ってとこを調べたデータ(R)が出ておりました。当然、自分だけが行動を自粛してても意味がないんで、自宅待機が効果を発揮するためにはみんなの協力が必須なわけです。

 

 

で、これはシドニー大学の研究で、数理モデルを使って「オーストラリアにおける新型コロナの拡大と隔離対策の効果」を計算した内容になってます。そこでどんな傾向が見られたかと言いますと、

 

  • 全体の90%が自宅待機を守れば、新型コロナは3カ月で制御可能になる
  • 自宅待機の割合が80%の場合は、制御可能になるまで4カ月かかる
  • 自宅待機の割合が70%、またはそれ以下になった場合、コントロールは不可能になる

 

だったそうな。7〜8割って数字は日本のニュースでもよく言われてることですが、ここでも似たような数値が確認されてますね。70%以下で自宅待機がムダになるってのは、なかなか厳しい話ですが仕方ないっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

感染が拡大する早い段階で厳しい措置を課すのには十分な理由がある。ピークを遅らせれば遅らせるほど、医療システムがICUのベッド、人工呼吸器、抗ウイルス剤、訓練を受けた医療従事者などを備える時間を増やすことができる。

 

とのこと。もちろんオーストラリアのデータなんで日本にどこまで当てはまるかはわからんですが、「とりあえずみんな家で過ごす!さもないと全ては無に帰す!」ってのは肝に銘じておきたいところっすね。

 

 

 

大気汚染が新型コロナの悪影響をブーストさせる

大気汚染がヒドい地域では新型コロナの致死率が上がる!」って報告(R)が出ておりました。これはハーバードやジョンズ・ホプキンス大学などがアメリカにおける3,080の郡から集めたデータをまとめたもので、

 

  • PM2.5と新型コロナには関係があるのでは?

 

って仮説について調べたんだそうな。すると、そこには相関関係が確認されまして、

 

  • PM2.5のレベルがわずかに上昇しただけでも、新型コロナの悪影響は増す
  • PM2.5の汚染が激しいエリアに長年住んでいる人は、大気がきれいなエリアに住んでいる人よりも新型コロナで死亡する可能性が15%上がる

 

だったそうな。研究チーム曰く、

 

COVID-19患者の死因と、微小粒子状物質(PM2.5)への長期暴露には大きな重複がある。

 

この研究結果は、COVID-19による危機があるあいだは、既存の大気汚染規制を続けて行うことの重要性を示唆している。

 

とのことでして、近年は大気汚染のヤバさがいよいよクローズアップされてきた感じですが、こりゃ自衛せんといかんですなぁ‥‥。

 

 

 

新型コロナからどんな音楽ができるかな?

新型コロナから曲を作ったよ!という話(R)がMITから出ておりました。って「何を言ってるのか わからねーと思うが」って感じですが、別にふざけてるわけじゃなくて、あくまで新型コロナへの理解を深めるためのプロジェクトであります。

 

 

これはソニフィケーションと呼ばれる技術を使ったもので、すごくざっくり言ってしまえば、

 

  • COVID-19のスパイクタンパク質のアミノ酸配列と構造を譜面に変える

 

って感じです。ウイルスが持つ独自の構造(特にコロナウイルスを取り囲む王冠みたいな部分)を音階に変えてるんですね。

 

 

この作業にどんなメリットがあるのかと言いますと、

 

私たちはウイルスを形作るタンパク質や分子などのナノスケールの物体を見えることができない。しかし、独自のアルゴリズムでCOVID-19のスパイクタンパク質のアミノ酸配列と構造を音楽的に表現することはできる。

 

ってことで、「音楽にした方がウイルスの構造をつかみやすいのだ!」みたいな話です。ウイルスってのは周囲を囲むトゲを使って自己複製をするんですが、音楽で構造を把握しておけば、抗体や薬剤の働きを理解しやすいですもんね。

 

 

というわけで、新型コロナから生まれた曲は以下のようになっております。うーん、妙に落ち着く音階だ……。

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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