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ストレスに強くなりたきゃ現在を生きよ!しかし、事前に計画は立てておけ!という実験の話

 
メンタルの改善にはマインドフルネスが大事!みたいな話はさんざん書いていて、個人的にもトレーニングしてみて良かったライフスキルのひとつだなーとか思ってたりするわけです(もちろん、その効果レベルについてはまだまだ議論が多いんだけど)。


ただ、ここで気になるのが「本当にいつもマインドフルネスでいたら、不慮のトラブルに弱くならない?」って問題であります。というのも、マインドフルネスってのは過去や将来への心配から意識をそらし、ひたすら現在に注意を向け続ける行為なんで、どうしても未来の問題への対処はおそろかになりがちなわけです。


そんなことを思っていたところ、「マインドフルネスはプロアクティブ・コーピングと組み合わせると効果が上がるぞ!」って報告(R)がノースカロライナ州立大学から出ておりました。


プロアクティブ・コーピングを意訳すれば「能動的なストレス対策」って感じでして、もともとは2000年代にポジティブ心理学の世界で生まれた考え方です。通常、ストレス対策というと「なんか嫌なことが起きたあとでできるだけダメージを減らすこと」を意味するんですけど、プロアクティブ・コーピングの定義は、

  • 将来のストレスの可能性を減らすために”前向き"に計画を立てること

ぐらいの意味になります。ここでのポイントは”前向き”さで、目の前に起きたことへ事後的に処理するんじゃなくて、あらかじめ自分が成し遂げたい目標をハッキリと認識し、そのプロセスで起きるであろうストレスを「これはゴールに向かうためのチャレンジなのだ!」ととらえつつ対処していくのが大事なところです。いったん起きたトラブルを嫌々処理するよりは、あきらかにメンタルに良さそうっすよね。


で、この研究では18〜90歳までの男女223人を集め、以下のポイントをチェックしてます。

  • いつもの生活でどれぐらいプロアクティブ・コーピングを行っているか?
  • 日常的にどれぐらいマインドフルネスに行動できているか?

プロアクティブ・コーピングのレベルは、だいたい以下のような文章に自分が当てはまるかどうかで計測してます。

  • 物事を流れにまかせるようにはしない。
  • 難しい物事に挑戦し、達成するのがすきだ。
  • 不幸な目に散々あっても、たいてい自分の欲しい物を手に入れる。
  • 成功するにはどうすればいいか、目的を絞って考える。
  • 障害をうまく乗り越える方法をいつも探す(何があってもあきらめない)。
  • 障害を良い経験にする。
  • 問題にぶつかったら、解決に向けて主導権をとる。

さらに、日常のマインドフルネスレベルは、以下のような文章に自分が当てはまらないかどうかで計測してます。

  • その時の感情に後から気づくことがある
  • 不注意や考え事が原因でモノを壊したりこぼしたりする
  • 今起きていることに集中することが難しいと感じる
  • 歩いて目的地に向かう際、道中の体験に注意を払わずにさっさと向かう
  • 身体的な緊張や不快感が明確になるまで、なかなかそれに気づかないことがある
  • 十分な注意を払わずに、急いで行動してしまう
  • 自分のしていることをあまり意識しないまま、自動的に何かをしているような気がする

ってことで、日常的に未来の問題について前向きに対処できてるか?ってのと、普段の暮らしで目の前のタスクに意識を向けることができているか?ってのを調べたわけですね。


これに加えて、参加者が味わった毎日のストレスとネガティブな気分の度合いを8日間ほど続けて記録してもらったら、経験した程度を報告するように求められました。その結果はこんな感じです。

  • プロアクティブ・コーピングレベルが高い人は、基本的にストレスにも強い(これは予想どおりの結果)
  • ただし、マインドフルネスレベルが低い日には、プロアクティブ・コーピングのメリットは消失していた(←これが目新しいポイント)

つまり、たんに前向きなストレス対策とマインドフルネスはセットで使った方がいいんだってことですな。


この結果についてチームいわく、

今回の結果は、プロアクティブ・コーピングとマインドフルネスを組み合わせることで、あらゆる年齢層の参加者が、日常的なストレスにより強くなれる可能性を示している。

プロアクティブ・コーピングとマインドフルネスは、ストレス要因とネガティブな影響の関係の約4分の1を占めていることがわかった。

ってことで、ストレスに強くなるためには、事前に能動的なトラブル対策を計画立てておき、それが終わったらあとはひたすら現在を生きるのが重要なんじゃないの?という指摘であります。

日々のプロアクティブ・コーピングとマインドフルネスレベルを高める作業は、現在を生きることを犠牲にして将来を考えようとする傾向のある人には、特に有効かもしれない。

とのことでして、つねに未来のトラブルを心配しがちな方は、プロアクティブ・コーピングとマインドフルネスを心がけてみるといいかもしれませんねー。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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