仕事をダラダラ先延ばしするのが良いこともある!はどこまで本当か?
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「アクティブな先延ばし」って言葉があるのをご存じでしょうか? 一般的に、仕事の先延ばしといえば悪いことの代名詞みたいな印象ですけど、「一部の先延ばしはポジティブな影響があるんじゃないの?」って考え方があるんですよ。
これは2009年ごろから出てきた考え方(R)で、だいたい以下のような定義になります。
(アクティブな先延ばし)とは、明確な意図を持って事前に先延ばしするタイミングを決めておくことだ。このような先延ばしは、時間的なプレッシャーの下でも強いモチベーションが維持され、期限前にタスクを完了することも可能となる。
つまり、なんとなく「気が乗らないなー」とか「他のことをしたいなー」みたいな動機でズルズルと先延ばしをするのではなく、「仕事のクオリティアップのために、俺は先延ばしをするのだ!」みたいな明確な動機があれば、逆に先延ばしはモチベーションアップに役立つのだ、と。だから「アクティブな先延ばし」と呼ばれるわけっすね。
これが事実であれば先延ばしを前向きに使えるかもしれないわけで、まことに喜ばしいことなわけですが、新しい研究(R)では「良い先延ばしなんて本当にあるの?」ってところを問題にしておりました。
これは1,605人の学生を対象にしたもので、リサーチのテーマはこんな感じです。
- アクティブな先延ばしは本当に存在するのか?
- 意図的に先延ばしをすることで、本当に良い結果が得られるのか?
ってことでどんな調査をしたのかというと
- みんなは普段からどのようなタイプの先延ばしをしているか?
- 学生のGPA(成績評価値)をチェックして、先延ばしタイプとの相関を見る
みたいになっております。そこでどんな発見があったのかと言いますと、
- アクティブな先延ばしをしても、タスクの期限を守る能力が上がるわけではなかった
- 先延ばしへの態度がアクティブだろうがパッシブだろうが、生徒たちの成績には変わりがなかった
だったそうです。なんでも、意図的にタスクを遅らせようと決めたところで、学生のタイムマネージメント能力とは相関が見られなかったらしい。結局のところ、先延ばしへの態度がどうだろうが、すべての先延ばしは良くないんだ、と。希望を打ち砕かれる結論ですなぁ。
そんなわけで、この研究から得られる教訓としては、
- 「俺は締め切りのプレッシャーがあった方が能力が発揮できるタイプなのだ!」とか思ってる人でも、やっぱり先延ばしをしないほうが悪影響を避けられる
- このデータでは、「結局のところ、成績が良いのは先延ばしを防ぐのがうまい人間だ」っていう普通の結論が出てる
ってあたりです。やっぱそんなうまい話はないもんですねぇ……。