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今週半ばの小ネタ(新型コロナエディション):肥満と感染リスク、PCR検査の問題点、呼吸困難に使えるテクニック


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。相変わらず新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回もそこらへんのまとめなど。
 

肥満で新型コロナリスクが上がる問題

太ると新型コロナのリスクが上がるぞ!といったデータ(R)が出ておりました。これは中国の新型コロナ患者112人を対象にした調査で、みんなの経過をチェックしたところ、

 

  • 研究中に死亡した17人の患者を調べたところ、15人(88%)はBMIで「太りすぎ」と分類されていた
  • 生存者95人のうちBMIで「太りすぎ」と分類されていた人は18人(19%)だけだった
  • ウイルスに感染した患者の88%は風邪のような症状だけで終わり、重症化したのは2%だった。ただし、肥満の人の場合、重症化のレートは14%に上がった

 

って結果だったそうな。ってサンプル数が少ないんであんまハッキリしたことも言えないわけですが、先行研究では「肥満はインフルエンザの罹患率と死亡率の両方と相関する危険因子だよ!」ってのは同定されてるんで(つまり、太ってるとインフルエンザに感染しやすくなるし、そのせいで死ぬ確率も上がる)、まぁ新型コロナでもリスク要因である可能性は高そうな気が。

 

 

ちなみに、なんで肥満で新型コロナのリスクが上がる(かもしんない)のかと言いますと、

 

  • 肥満によってリンパ球と好中球の機能に影響を与えるから

 

と考えられてます。ざっくり言えば肥満のせいで免疫系に負担がかかっちゃうわけですな。気をつけておきたいところですなぁ……。

 

 

 

PCR検査で「ニセの安心感」が出ちゃう問題とか

PCR検査ってどうよ?ってのは日本でもよく議論されてるところ。検査がどこまで必要か?ってのは判断が難しいところですが、毎度おなじみメイヨークリニック(アメリカの超有名病院)から「PCR検査の注意点」をまとめたレビュー(R)が出ておりました。

 

 

まずはポイントをざっくりまとめると、

 

  • PCR検査は、血液中の抗体を探すテストとは異なり、人体がウイルスに反応し始める前にも検出できる。これがすばらしい機能なのは間違いない

 

  • PCR検査の欠点としては、たとえ「陰性」の結果が出たとしても、それは単に「ウイルスのDNAが見つからなかったよー」って意味にしかならないので、その点で信頼性は低い(つまり、陰性が出ても病気にかかってる可能性は十分にある)

 

みたいになります。簡単に言えば、PRC検査は「新型コロナにかかってるぞ!」を見抜くのは得意なんだけど、「あなたは大丈夫です!」を見抜くのは苦手なんだ、と。難しい問題ですなぁ。

 

 

陽性を見抜ければいいんじゃないの?と思うかもですが、なんせ検査数が増えれば増えるほど偽陰性(本当は新型コロナにかかってるのに「大丈夫」と判断されるパターン)も激増することになりまして、

 

カリフォルニア州では、2020年5月中旬までにCOVID-19の感染率が50%を超える可能性がある。人口4,000万人のカリフォルニアでは、包括的な検査で200万人の偽陰性が予想される。仮に人口の1%しか検査を受けなかったとしても、2万人に偽陰性の結果が出るものと推測される。

 

ってことで、結構な量の誤差が出る危険が指摘されておりました。あんまりPCRを信頼しすぎると、逆にパンデミックがコントロールできなくなるから注意してね!ってことっすね(特に病院内での感染リスクが怖いことになる)。

 

 

まぁこのへんはよく言われてきたことなんで専門家には釈迦に説法でしょうが、一般人も押さえておくといいかもですねー。

 

 

 

呼吸が難しくなったらこのテクニックだ!みたいな話

イギリスのクイーンズ病院の医師が「新型コロナにかかったらこの呼吸法だ!」って動画(R)を公開しておられました。COVID-19の症状が出たら、特定の呼吸を行うことで症状がやわらぐというんですな。

 

 

具体的にどんな呼吸法かと言いますと、

 

  1. 5秒間息を吸い込む
  2. 5秒間息を止めてから吐き出す
  3. 1〜2のステップを5回行う
  4. 6回目の深呼吸で大きな咳をする
  5. 1〜4のステップを2セット繰り返す
  6. ベッドの上にうつ伏せに寝つつ、10分ほどゆっくりした呼吸を続ける

 

みたいになってます。まぁ査読論文でもなんでもないんでアレですが、慢性的な呼吸器疾患の患者さんに深呼吸のエクササイズを使うのは一般的なんで、COVID-19の症状にも役立つのだろうなーとは思うわけです。

 

 

もちろん呼吸法で症状の悪化が防げるとは言えませんが、呼吸に困難を覚えたら試すのもありでしょう(もちろん医師に相談の上で、ですが)。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。