金持ちになりたい!と思う人ほど不幸になっていく心理メカニズムの話とか
「科学的な適職」にも「お金で得られる幸せには限界があるよねー」みたいな話を書いてるとおり、金銭と人間の幸福は食い合わせが悪いわけです。どうも基本的な衣食住を満たすレベルの富を得てしまうと、そこからヒトの幸福感は動きにくくなるみたいんすよね。
で、新しいデータ(R)は「お金に自己の価値を置くと不幸になるぞ!」って結果が出てて参考になりました。
これはバッファロー大学の研究で、だいたい2,500人の参加者を集めて複数の実験をしてます。それぞれをざっくり紹介すると、
・ひとつ目の実験
- 345人の男女を集めて「お金と自己価値の結びき」を調べる(例えば、「私の自尊心は、どれだけお金を稼ぐかによって影響される」とか「十分なお金を稼いでいないと自分にがっかりする」みたいな文章にどれぐらい賛成するかをチェックした)
- 続いて、毎日の暮らしの中でどれぐらい時間のプレッシャーを感じているかを調べる(例えば「一日に十分な時間がない」みたいな文章でチェックした)
- さらに、全員の「孤独感」「他の人とのつながりの感覚」「人生のコントロール感」を測定
- すべてのデータを比較する
ってことで、まずは「お金の感覚と幸福度」を調べたら、こんな傾向がみられました。
- 経済的な成功に自己価値を結びつけている人ほど、日々の暮らしに時間的なプレッシャーを感じ、人生のコントロール感も低く、他人との関係も悪かった
「金を稼ぐことこそ成功の証なのだ!」と思ってる人ほど日々にストレスを感じ、「なんか人生を自分でコントロールできてない‥…」って不満を抱いてたんだそうな。なんかわかる気がしますね。
・ふたつ目の実験
- 940人の男女を集めて、同じように「お金と自己価値」のレベルをチェック
- プライベートな暮らしの幸福度を調べて、お金への価値観と比べる
こちらは1つ目の実験を拡大した内容になっていて、その結果もほぼ同じです。やっぱり「金こそ成功の証明!」と考えている人ほど人生に不満を感じ、家族や友人と過ごす時間も少なかったらしい。
・3つ目の実験
- 246人の男女を集めて、同じように「お金と自己価値」のレベルをチェック
- 毎日の気持ちや行動を日記につけてもらう
といった感じで、ここではさらに日々の感覚と行動を記録してもらい、メンタルの変化をさらに細かく調べております。こちらの結果がどうだったかと言いますと、
- 参加者のなかで「金こそ成功の証!」って気分が高まった日は、人生のコントロール感と社会的なつながりの両方が激しく悪化した
- 持続して「金こそ成功の証!」って気分が高い人は、人生のコントロール感と社会的なつながりの両方が慢性的に低く、いつも自分の懐具合を心配していた
だったそうです。やっぱり金銭と自己の価値を結びつける人ほど慢性的な不満を抱えやすいみたいっすね。
研究チームいわく、
経済的な成功に自己の価値を置く人は、プレッシャーや自律性の欠如を経験し、社会的にマイナスの結果につながる。金銭的な目標を達成するためにプレッシャーを感じるせいで、愛する人たちと過ごす時間が犠牲になり、孤独感や疎外感につながるからだろう。
とのこと。おそらく経済的な成功を求めること自体には問題がないんだけど、お金で自分を定義しちゃうとヤバいってことなんでしょうな。まぁ金銭的な成功は運の要素が大きいんで、そこに自分を乗っけちゃうと脆弱にはなるでしょうね。「金持ちになるぞ!」って希望が強い方は、そこらへんの罠におちいってないかご注意くださいませー。