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今週末の小ネタ:ナッツで体重減少、夜ふかしは感情調整が下手、必要な情報を知りたくない!問題

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

痩せたければファストフードをナッツに置き換えよ!

痩せたければファストフードをナッツに置き換えよ!」という話(R)がBMJに掲載されておりました。

 

 

これはNHSっていう有名な健康調査のデータから166,207人を対象にした長期の観察研究で、全員をおよそ20年以上にわたってモニタリングしたもの。4年ごとに全員の体重とナッツを食べた回数を尋ねつつ、さらにウォーキングや水泳などの運動をどれぐらいやってるかもチェックしたそうな。

 

 

データをまとめると、ナッツの消費量と体重にはハッキリした相関がみられまして、

 

  • みんな1年で体重が平均0.32 kgぐらい増えていた。が、ナッツを食べている人は長期的な体重の増加が抑えられていた
  • どんなナッツでも体重の抑制と相関していた、特にクルミを1日に半皿分ぐらい増やすと肥満のリスクが15%低下していた
  • 加工肉、精製穀物、チョコレート、ケーキなどの不健康な食品をナッツに置き換えると、4年間で0.41 kgから0.70 kgほど体重増加を抑えることができた
  • いずれの調査機関においても、1日当たりのナッツ摂取量をゼロから半皿分に増やすと、ナッツを食べない人に比べて体重が0.74 kg減り、肥満のリスクが16%減る

 

って相関がみられたらしい。ナッツが体にいいのは昔から確認されてましたけど、体重コントロールについても結構いい成果が出ましたねー。

 

 

ちなみに、この研究でいう「半皿分のナッツ」ってのは1日14 gぐらい。ファストフードの代わりにほんのちょっとのナッツを取り入れてみるといいかもですねー。

 

 

 

夜ふかし人間は感情コントロールが下手じゃないか問題

夜ふかし人間は感情コントロールが下手!」ってな論文(R)が出ておりました。ご存じのとおり、人間は生まれつき朝に強い人と夜に強い人に分かれていて、このタイプに沿って生活しないとパフォーマンスが低下しちゃうんですよね。いわゆるクロノタイプっすな。

 

 

で、この新しい研究では、クロノタイプは「感情の扱い方」や「自己主張の仕方」にも関係してるんだそうな。具体的には、マラガ大学が18歳から60歳までの健康なスペイン人男女2,283人を集めた研究で、まずはオンラインアンケートでみんなのクロノタイプを評価したところ、

 

  • 約28%が夜型
  • 約23%が朝型
  • 残りはどちらでもない昼型

 

って感じになったらしい。ここらへんの分布は先行研究でも確認されてたものに近いっすね。

 

 

続けて、参加者たちに「感情のコントロールがどれぐらい上手か?」ってポイントも尋ねまして、

 

  • 認知的再評価はどれぐらいできるか?:ネガティブな状況に対して考え方を変えて、感情をコントロールするのがうまいかどうか

 

  • 感情へのメタ認知は正常か?:感情についてどう考えているかどうか? 例えば「心配することは将来の問題を避けるのに役立つ」とか「私はいつも自分の考えをコントロールしていなければならない」みたいに考えているような人は、逆に感情のコントロールが苦手なことが多め

 

  • 自己主張のレベルは?:自分が言いたいことをハッキリと言えるかどうか

 

などを調べたうえで全体のクロノタイプと比べたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 朝型の人ほど、認知的再評価を使って感情を調節するのがうまいが、夜型はネガティブな感情を押さえつけて対処する傾向が強かった。感情の抑圧は、うつ病や幸福感の低下、自尊心の低下などをもたらす可能性が高い

 

  • さらに夜型は感情についての考え方も不適応なケースが多く、自己主張のレベルも低かった

 

なんか夜型の人は涙目な結果になってますね。研究チームは「夜型は現代社会のライフスタイルに適合していない傾向があるので、そのせいで心理的な疲れが大きいのではないか?」と推測しておられます。この仮説が正しいかどうかはわからんですが、夜型の人は意識して感情コントロールの技法を身につけておくといいかもですな。

 

 

 

「必要な情報だが知りたくない!」が起きやすい人

「そんな情報は知りたくない!」と思うようなケースは意外とあるはず。レントゲンを撮ったら謎の影があったが、その答えは聞きたくない!といった状況ですね。

 

 

このような心理はとても普通らしく。フォードハム大学の研究(R)でも掘り下げられておりました。実験の参加者は380人で、みんなに以下のような質問をしたそうな。

 

  • 投資のチャンスを逃した後で、そのパフォーマンスを見てみたいですか?
  • 命に関わるような病気のリスクが高いかどうかを知りたいですか?
  • あなたのスピーチが他人からどれだけ評価されてるかを知りたいですか?

 

って感じで「自分にとって不快な情報を得たいか?」ってのを聞いた後で、さらに全員の性格も調べて傾向をチェックしたんだそうな。すると、

 

  • 参加者はだいたい32%ぐらいが「情報を受け取りたくない」と答えた
  • 不快な情報を知りたくない人の割合は一定しており、人間関係の質問は24%ぐらいで、健康に関する情報は29%ぐらいの数値だった
  • この傾向は、「俺は不快な情報だって望んでゲットする人間だ!」と答えた人にも確認された

 

ということで、嫌な情報を避けるのは人間の一般的な傾向みたいっすね。では、どのような人ほど不快な情報を避けるのかと言いますと、

 

  • 参加者が不快な情報を避ける傾向は、性別、収入、年齢、教育とは関係していなかった
  • しかし、ビッグファイブにおける外向性、誠実性、および新開放性が高い人はより多くの情報を求める傾向があり、神経症的傾向のスコアが高い人は情報を避けやすかった

 

だったらしい。まぁ神経症傾向が高い人は不安になりやすいんで、不快な情報から逃げようとするのは当たり前でしょうね。ただこの心理を放置しとくと、本当に有用な情報を逃すことにもなるんで、自分がどんな情報に対してびびりがちなのかどうかは把握しておくといいかもっすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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