「物語学習」のすばらしさがあらためて確認されたかもだぞ!みたいな話
よりよい学習法とは?みたいな話は山ほどあって、いまんとこは検索練習がもっとも確からしい方法なんだろうなーとか思ってるわけです。
しかし、新しい研究(R)では「”物語”の学習効果もかなりすごい!」って結論になってておもしろいです。
これは約2,500人の小学生を対象にした調査で、全員に進化論のしくみを教えたんですが、その際に全体を2つのパターンに分けていて、
- 「人間の骨がどう変化したか?」を例にしつつ進化のしくみを説明
- 三葉虫がどんな風に進化して絶滅したかを物語形式で説明
って感じで異なる方法を使ったたそうな。なんで三葉虫の物語を採用したのかと言いますと、
三葉虫はかなり昔に絶滅しているため、 "人間のような"特徴を持たず、いま生きている子孫もいない。つまり、三葉虫は子供とのあいだに知的な結びつきはないはずだ(たとえば、三葉虫をペットとして飼うことはできないだろう)。
とのこと。なにかを例にして覚えるときって、通常は自分にとって身近なものを使ったほうが理解しやすいはずであります。その点で三葉虫は人間から遠い存在なので、例として使っても子供たちには受け入れられないのでは?と考えたわけですね。
逆に「人間の骨」は自分の肉体の一部なので、こっちを使って説明したほうが親近感も増すはずで、その分だけ理解が進むんじゃないだろうか?ってのが研究チームの読みだったわけです。
で、授業のあとに子供たちにテストをしたら、結果はこんな感じになりました。
この結果には驚かされた。当初の予想では、たんに座って物語を聞く授業よりも、もっとアクティブに参加する授業のほうが、子供たちの積極性を上げると考えた。
と同時に、三葉虫の抽象的な説明よりも、人間の進化を事例にしたほうが内容を飲み込むだろうとも予想した。しかし、実際にはどちらの結果も逆だった。
ってことで、三葉虫のほうがなじみの薄い題材だったにも関わらず、ストーリー形式で教わったほうが、より進化論への理解が優れてたらしい。
もちろん、ここでは進化論の教育をテストしただけなんで、たとえば数学や物理でも物語がいいのかはよくわからんところではあります。そこはご注意ください。
ただ、普通に考えれば、事実をひたすら伝えるよりは物語のほうがわかりやすいだろうなーと思うわけです。似たような報告例としては2017年のケーススタディ(R)がありまして、複数の生徒と教師の授業観察を行なったところ、
- ほとんどの生徒は、教科書よりも物語の方が「自然淘汰」の仕組みを理解しやすいと考えていた
みたいな傾向が見られたそうな。また、プリンストン大学などがコミュニケーション中の人間の脳を調べた調査(R)だと、
- 事実だけを聞くと、人間の脳はデータ処理中枢が活性化される
- 物語を聞くと、人間の脳は感覚中枢も活性化される
って傾向も確認されてまして、物語に触れた脳はドーパミンがドバドバと放出され、その分だけモチベーションと記憶力が上がるんだそうな。まぁ歴史の教科書を読むより歴史マンガを読むほうが話を覚えているのはよくある現象ですから、ここらへんはわかりやすいっすね。
ちなみに、今回の研究では「抽象的なものごとでもストーリー化した方がいいよ!」ってのがポイントなので、元素記号とか方程式なんかも擬人化したストーリー仕立てにするといいかもしんないっすね(要するに「はたらく細胞」みたいなことですな)。