お金がないとカップルの関係性も悪くなるよなー、という当たり前のことが改めて確認された話
「金の切れ目は縁の切れ目」などと申しますが、それがどこまで本当かを調べたメタ分析(R)が出ておりました。
もうちょい正確に言うと、この研究は金銭的なストレスはどれぐらい夫婦関係によくないのか?ってのを調べたものでして、
- 分析の基準を満たした34の論文から合計34,007人のデータをピックアップ
- 家庭の経済状況が上昇した場面(41%)と下降した場面(59%)で、どのように関係性が変わったかをチェック
みたいになってます。カップルの関係性を判断する上では、以下の要素を定量化して判断したらしい。
- ポジティブな関係の多さ=思いやりのある行動、共感、サポート、積極的な対話が多く、日々のけんかを前向きに解決できるかどうか
- ネガティブな関係の多さ=解決に結びつかない口論が多く、パートナーを中傷したり、冷たい態度をとっているかどうか
でもって、すべてのデータをひっくるめたところ、
経済的な緊張は、夫婦関係の機能の多くの側面に対して、等しくネガティブな影響を与えているようだ。
って傾向が確認されたそうな。もうちょい詳しく言うと、「お金が足りない!」って状況に襲われたカップルは、
- 口論の増加
- 相手の話を無視する行動の増加
- お互いのサポートの減少
- 夫婦の満足度の低下
- 破局の増加
みたいな現象が起きやすくなるらしい。やっぱりなーって感じっすね。
でもって、さらに「お金が足りない!」の悪影響を深掘りすると、
- 経済的な危機の悪影響はすべてのカップルに見られた
- 客観的に見て低水準にあるカップルほど「お金が足りない!」の悪影響は増える
- 韓国やトルコよりもアメリカ人の方が経済的ストレスに弱い
みたいな傾向も確認されてます。どんなに仲が良いカップルでも、金銭のストレスは悪影響をもたらすんじゃないか?ってことですな。
ちなみに、この研究は「家族経済的ストレスモデル」っていう理論を使ってて、簡単に言うと、
- 低収入や貧乏といったお金の問題が、カップルの緊張感を高める
- そのストレスが夫婦のやりとりや子育てに悪影響を与える
- 人生の満足度が大きく下がる!
みたいな考え方です。直感的にも「納得できるなー」って感じの理論ですが、今回のメタ分析であらためて妥当性が確かめられたわけっすね。
さらに余談ですが、いま自分の家庭にどれぐらい経済的なストレスが存在するかは、筑波大学の先生方による質問紙である程度チェックできますので、気になる方はどうぞ(R)。以下の文章について、
- 1〜11=「まったく当てはまらない(1点)〜完全に当てはまる(7点)」で答える
- 12〜17=「金銭的に厳しい(1点)〜金銭的に問題がない(7点)」で答える
みたいに採点していただければ幸いです。
1. 現在の収入では,やりくりするのが難しい
2. 近い将来,生活がなりたたなくなるのではないかと心配になる
3. 今後,子どもにかかる費用を払っていけるのか不安になる
4. 現在の収入では,貯蓄することは難しい
5. 今後の経済的な見通しがもてない
6. 家族が必要とする食料や衣服をまかなえるだけの金銭的余裕はある ★
7. 現在の収入で,望ましい生活水準は保たれていると思う ★
8. 子どもに絵本や子ども用の本を買ってあげるのは金銭的に難しい
9. 私(または配偶者)が職を失うのではないかと心配になる
10.将来,安定した収入が得られていると思う
11. 一泊以上の旅行にいくのは金銭的に難しい
12. 食費
13. 住居費(家賃やローンなど)
14. 光熱費(電気・ガス・水道代など)
15. 衣服・履物(靴など)
16. 子どもの教育費
17. 税金(所得税・住民税など)や社会保険料
採点の際は★マークの文章につけた点数を反転させて、すべて合計していただければOKであります。合計点については「これより多ければ大丈夫!」みたいな基準があるわけじゃないので、定期的にチェックして「前よりも金銭的なストレスが増えたか減ったか」を調べてみるのもいいかもっすね。