マインドフルネスは「受容」の態度がないと逆効果になっちゃうから気をつけてね!みたいな研究の話
「無(最高の状態) 」では、「マインドフルネスってのはやり方を間違えると逆効果なこともあるよー」って話をしております。近年の研究を見てると、どうやら瞑想のせいで不安が増したりネガティブになってしまったりと、そんな問題が起きるケースもあるみたいなんですな。
ということで、「無(最高の状態) 」では、マインドフルネスの活用に欠かせない要素として、以下の要素をあげております。
- 漸進性:トレーニングの強度や負荷を少しずつ上げること
- 脆弱性:個人がそれぞれに持つ"弱さ”に合わせること
- 受容性:嫌な感情を受け入れること
- 縁起性:あらゆるものが因果関係のネットワークによって成り立つという世界観
- 超越性:自分の理解を超えた素晴らしいものごとに接すること
いずれもちょっとむずかしい概念なので、くわしくは「無(最高の状態) 」を参照していただければと思いますが、上記のポイントを満たしてないと、せっかく瞑想を続けても意味がなくなっちゃう可能性が高いんですよ。
でもって、新しいデータ(R)では、「マインドフルネスは”受容”が必要だよねー」ってポイントをくわしく調べてくれております。これはライアソン大学などの研究で、まずは95,000サイトのWebページから2,200万件の140億語を集めた「iWeb」ってリソースを分析。その結果、研究チームはこんなことを発見したそうな。
- 世間で言われてるマインドフルネスって「気づき」の機能だけをふくんでて、「受容」の要素がふくまれてないよねー
世の中の「マインドフルネス入門」や「瞑想ガイド」みたいな情報は、「いま呼吸が鼻から出ているな……」みたいな「気づき」の要素ばっか強調してて、「嫌な経験を受け入れる」や「自分の経験をジャッジしない」みたいなとこを無視しており、そのせいで自分はマインドフルネスを実践していると思っていても、実際には本質的なプロセスを経ていないんじゃないの?ってことっすね。
でもって、さらに続いて研究チームはマインドフルネスの実証的な測定もやってまして、約42,000人の参加者を含む145のデータセットを分析して、マインドフルネスの玄人と素人はなにが違うのか?ってあたりを調べてます。具体的には「人生の質を上げる「マインドフルネス度」を診断するための39問」と同じ質問を使って、マインドフルネスの実践経験が豊富な人とそうでない人の差を調べたんだそうな。
この結果もやっぱり研究チームの予想どおりでして、
- マインドフルネスの経験が多い人ほど「気づき」だけでなく「受容」をちゃんと重視している
- マインドフルネスをあんまやってない人は、マインドフルネスの解釈にズレがある
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「気づき」と「受容」2つの要素がかみ合わないと、いやーな感情が増えちゃうケースが多い(具体的には、「気づき」系のマインドフルネスしかやってない人は、たんにネガティブな感情を抑制だけしちゃって、逆効果になりやすい)
だったそうな。「受容」はマインドフルネスのめちゃくちゃ重要なポイントであり、どちらが欠けても成り立たないってことっすな。うーん、これは納得。
そう考えると、やっぱ世間的に言われる「マインドフルネスですぐにメンタル改善!」みたいな話はあり得なくて、やっぱ自己改善は長い道のりだよなーって気がしますな。なんせ自分の嫌な側面や嫌な経験を受け入れる作業ってのは大変でして、少しずつ段階を踏んでいくしかないですからねぇ。受容の問題については、「無(最高の状態) 」の「第5章 降伏」にくわしく書いてますんで、あわせてご参照いただけるとよろしいのではないかと。