多様な感情の体験はアンチエイジングに良い!では、多様な感情を増やすにはどうすればいいのか?
その昔、「アンチエイジングにはエモダイバーシティが大事!」という話を書いたことがありました。エモダイバーシティは「感情の多様性」のことで、具体的には、
- 何らかのポジティブな体験をする際に、「嬉しい」って感情だけでなく、ワクワク感、落ち着き、安らぎ、興味といった複数の感情を体験する
- 何らかのネガティブな体験をする際に、「嫌だ」って感情だけでなく、悲しみ、焦り、怒り、イライラといった複数の感情を体験する
のように定義されます。ポジティブにせよネガティブにせよ、ひとつの感情だけでなく、同時にいろいろなバリエーションを体験したほうがストレスが低下し、そのおかげで体内の炎症レベルも下がるというんですよ。これは意外と言われてないポイントなので、押さえておくと吉であります。
でもって、新たに出てきたデータ(R)も久々に「エモダイバーシティ」の話で、「どうすれば高いレベルのエモダイバーシティを実現できるのか?」ってとこに焦点を当てていて、非常に参考になりました。
これは南フロリダ大学などの研究で、チームはこんなことをおっしゃっておられます。
幅広いスペクトルの感情を経験することは、日常生活をよりバランスのとれたニュアンスで評価をすることを意味し、人間にとって適応的で健康にも有益だ。
たとえば、ネガティブな感情であっても、「激しい怒り」しか感じないようであれば、その人は状況を狭く評価していることを意味するかもしれない。しかし、怒り、悲しみ、恥といった複数の感情が混在している場合は、より広く、よりニュアンスのある評価を示しているのかもしれない。
要するに、嫌な状況をすべて「ムカつく」で表現していたら、自分が置かれている状態を正確に判断できず、その分だけストレスがたまってしまうわけですね。
ということで、この研究では、約3,000人の健康な男女を対象にしたデータセットを使い、
- 日々どのような感情体験をしているか?
- 日々どのような活動をしているか?
を追跡し続けております。具体的には、まずは参加者の活動を以下の7つのカテゴリーに分類したんだそうな。
- いつもの仕事
- 子供と過ごす時間
- 家事
- 余暇活動
- 運動などの身体的活動
- ボランティア活動
- 近所の人との家庭外でのふれあい
その上で、全員の活動を8日間にわたって記録し続け、同時にポジティブおよびネガティブな感情の移り変わりも計測して、エモダイバーシティのスコアを算出したとのこと。
エモダイバーシティについては、感情の種類を合計24パターンに分類してまして、
- ポジティブな感情
- 明るい
- 元気
- 幸せ
- 穏やか
- 満足
- 充実
- 熱心
- 気配り
- 誇り
- 活動的
- 人と親しい
- 帰属意識
- 自信
- ネガティブな感情
- 無価値
- 緊張
- 落ち着かない
- 絶望
- 恐怖
- 不安
- イライラ
- 恥ずかしさ
- 動揺
- 孤独
- 怒り
- 不満
- 面倒
- 悲しさ
といった感じで、それぞれの感情をどれぐらいの頻度で体験しているのかを調べたらしい。
その結果、どんなことがわかったかと言いますと、
- 日常的に幅広い活動に参加している人ほど、ポジティブとネガティブの両方で多様な感情体験をしていた(1日のうちに仕事や隣人との交流、運動、余暇などをこなす人の方がエモダイバーシティのレベルが高い)
- 33~44歳の人は68~84歳の人と比べてより多様なポジティブ感情を経験していた
- それぞれ活動の参加時間は、活動の多様性ほど重要ではなかった(つまり、少量の時間でもいいから、いろんな活動をした方が良い)
だったそうです。高齢者より若者のほうがポジティブの多様性があるのは、歳をとるほど仕事や子供と過ごす時間が減少したり、人生経験が長いせいで潜在的にネガティブな状況を避けやすくなったりするのが原因らしい。ネガティブを恐れて新しい活動を控えては行けないってことですね。
また、活動に参加する全体的な時間がエモダイバーシティと関係しないってのは良いニュースで、とにかく幅広い活動に参加するのが重要ってのは、ほぼ仕事と運動しかしてない私には励みになる結論でありました。とりあえず余暇から増やしていきたい……。