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今週末の小ネタ:スマホで日中の疲れが激増? 脳の機能低下を防ぐ食品は? カラルマで体型が変わる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 
スマホはやっぱ睡眠障害とか日中の疲労と関連してるっぽいなぁ

続いては、「スマホの利用が日中の疲労感につながってるのでは?」って研究(R)のお話です。新型コロナのせいでモバイル機器の使用量が増えた人も多いでしょうから、これはちょっと気になるポイントですね。

 

 

この研究では、中国・北京の大学院生1,016名を対象にしたもので、みんなに「どれぐらいスマホを使っているか?」「睡眠の質はどんなもんか?」「主観的な疲労感はどれぐらいか?」ってのを尋ねたんだそうな。

 


スマホの利用については「スマートフォン依存傾向尺度」ってのを使ってまして、

 

  • スマートフォンの使用で予定した仕事を休んだことがある

  • スマホの使用中に手首や首に痛みを感じる

  • 使用していない時にもスマートフォンのことを考えてしまう

  • スマホをつい予定より長く使ってしまう

  • 周囲からスマホを使いすぎと言われる

     

みたいな文章に賛成するかどうかで、スマホの使用に問題がないかをチェックしてます。スマホ依存に近い状態かどうかを調べたわけですね。

 

 

その上で、みんなの夜間覚醒、総睡眠時間、日中の眠気などを調べ、全体の睡眠障害レベルと比べたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 全体では、49.7%がスマホの問題利用、70.57%が睡眠障害、55.91%が身体的疲労、43.6%が精神的疲労を持っていた

  • スマホを使えば使う人ほど睡眠障害や疲労と有意に相関していた。スマホの利用で心身が疲れちゃう理由のうち、約半分は睡眠障害が原因だった

 

ということで、やはりスマホを使うと睡眠の問題が起き、そのせいで心身の疲労が起きてしまうんだ、と。ただし、スマホと睡眠の関係は現象の半分しか説明できていないので、シンプルにスマホがもたらすストレスの影響とかも大きいのかなぁ……とか考えております。やっぱスマホは控えたいすね。

 

 

 

脳の機能低下を防ぐ食品はどんなもんでしょう?

脳をうまく働かせ続けるためには良い食事が欠かせないのは当たり前で、なかでも抗酸化・抗炎症作用がある成分を摂取するのが欠かせないのは周知の事実。ただ、具体的にどんなものを食べれば認知機能の低下が起きづらくなるのかってポイントについては、まだ謎も多いのが正直なところです。

 

 

そこで新たなデータ(R)では、「食事の代謝物をチェックして、具体的にどんなものがいいか確かめてみたよー」という内容になってて、できるだけ脳の働きを保ちたい方には参考になる話になっておりました。これは、認知症がない高齢者842名を対象とした調査で、みんなの血液を採取して血液内の代謝物を調べ、それから12年間の追跡調査を行ったらしい。

 

 

でもって、研究の期間中に認知が低下した参加者とそうでない参加者を比べたところ、

 

  • 脳が健康なままだった高齢者は、以下の代謝物が多かった
    • ココア(3-メチルキサンチンなど)
    • コーヒー(2-フロイルグリシンなど)
    • キノコ(エルゴチオネインなど)
    • ブドウ(シス・レスベラトロール3-硫酸など)

 

  • 脳の機能が低下した高齢者は、以下の代謝物が多かった
    • サッカリン
    • アルコール

 

ということで、このブログでもよく名前が出てくる、ココア、コーヒー、ブドウにふくまれるポリフェノールが脳の劣化予防にとてもよろしく、逆にアルコールとサッカリンはよろしくないかもしれないんだ、と。やはりポリフェノールもしくはキノコか……。

 

 

ちなみに、著者チームは、ドーパミンやセロトニン、ビタミンB群など、腸と脳のつながりに関わる代謝物の変化も認知の衰えに関わっている可能性を示唆してまして、ポリフェノールを代謝してくれる腸内細菌の重要性もあらためて強調しておりました。個人的にはもうちょいキノコの量を増やしておきたい……。

 

 

 

カラルマはどれぐらい体型の改善に意味があるのか?

カラルマ」っていう非常にマイナーなサプリがあるんですよ。食用サボテンのエキスを抽出したサプリで、インドでは昔から空腹感を抑えるために使われてきた、わりと歴史ある商品だったりするんですね。

 

 

その効果については、いくつかの試験で「食欲が減るかも?」とか「肥満対策になるかも?」って報告は出てるんですけど、実際にどれぐらいの実力があるかは謎だったりします。そこで新たなメタ分析(R)では、「カラルマはダイエットに効くのか?」ってあたりを掘り下げてくれていて、非常に参考になりました。

 

 

これは4つのランダム化比較試験をまとめて大きな結論を出したもので、太りぎみな男女269名を対象に、プラセボとカラルマ抽出物を比べた場合に、体重やBMI、ウエストサイズ、満腹感、食欲などに効果が出るかを調べてくれてます。

 

 

参加者は18歳から70歳までで、4つの試験すべてにおいて、1日1グラムのカラルマエキスを使ったんだそうな。介入期間は8週間から12週間だったそうで、サンプル数は少ないものの、すべての試験は質がわりと高めなのがいい感じです。

 

 

で、結論を見てみると、こんな感じです。

 

  • カラルマのサプリは、プラセボと比べてウエスト周囲径を1.6cm、ウエスト:ヒップ比を0.06減らす
  • ただし、他の結果には目立った影響が見られなかった

 

うーん、微妙。体重や食欲にはほぼ影響がない上に、効果が出たところについても大した違いじゃないですね。もうちょいデータを見ないとアレですけど、これは買わなくてもいいな……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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