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夜勤で乱れまくった体内時計を2日でリセットする8つの考え方


 

こんなご質問をいただきました。

 

仕事のせいで夜勤が多く、どうしても平日の睡眠がバラバラになってしまいます。同じ時間に起きて寝るのが一番なことはわかっていたんですけど、平日の睡眠が一定にならないし、毎日の睡眠時間も4時間だったり6時間だったりとバラバラです。これを週末の寝だめで挽回できればと思うのですが、どうすればいいでしょうか?

 

ということで、仕事のせいで平日の睡眠が乱れてしまうのを、週末でどうにかできないものか、と。これはわりと多いご質問で、シフト勤務で働いている方などは、体内時計が崩れがちなんで大変でしょうねぇ。

 

 

で、この問題ですが、週末の寝だめというよりは、週末の2日を使って全力で睡眠の質を高める方向で考えたほうがいいかなーとは思います。2016年の研究(R)なんかでも、質の高い睡眠を3~4日とれば睡眠の乱れがある程度まで解消されると報告されてますんで。

 

 

それでは週末をどう過ごすかってことですが、正直なところ「こうすれば乱れた体内時計がリセットされる!」みたいに、専門家の総意があるプロトコルは存在しないので、あくまで「私だったら何をするか?」って視点から、具体的にやることをまとめていこうかと思います。睡眠の質を高める細かい方法に関しては「不老長寿メソッド」にもいろいろとまとめてますけど、それらのテクニックをどう組み合わせて使うか?みたいな話ですな。

 

 

  1. 起床時間と就寝時間の固定:少なくとも午前7〜8時には起きて、日中の疲労感をためておきたいところ。「睡眠不足だから週末は遅くに起きるぞ!」と考えがちですが、それだと充分な疲労物質がたまっていかず、夜中に深い睡眠の量が減ると思われますんで。それと同時に、就寝時間は午後11時までにはしておきたいっすね。



  2. 起きたら30分のエクササイズをする:運動と睡眠に深い関係があるのはご存じのとおり。運動は睡眠の質と睡眠時間を改善してくれるので、朝に最低でも30分の運動をして、さらに疲労感をためておくことをおすすめします。これは、有酸素運動でも筋力トレーニングでも、どちらでも構いません(個人的には有酸素運動のほうがおすすめですけど)。



  3. 光の調節を徹底しまくる:睡眠のコントロールには光のオンオフが欠かせないのも有名な話。なので、朝から夕方まではひたすら自然光か明るい光に当たりまくりましょう。願わくば外を散歩して太陽光をひたすら浴びるといい感じですね。

    それと同時に、日が傾き始めたら照明を一気に落とし始め、就寝時はわずか数ルクスの光すら室内にない状態を徹底してください。もちろんスマホの利用も完全NGであります。

    また、夜勤の時は、シフト中に明るいデスクランプやライトボックスなどを使って明るい光を浴びまくっておくと、体の覚醒状態をキープできるため、勤務が終わったあとに光の曝露を抑えれば一気に疲労感がまして睡眠が深くなるってメリットも得られたりします。



  4. 食事のコントロール:食事も体内時計フィックスに欠かせないポイントなので、コントロールは必須。具体的には、サラダ、乳製品、果物、野菜などの消化の良いものを選び、甘いものはできるだけ控え(すぐにエネルギーが失われるので)、果物や野菜を間食にしておくのがおすすめです(果物や野菜の糖分は、ゆっくりとエネルギーに変換されるんで)。


  5. アルコールは1杯だけ:酒を飲んでどうにか眠りたい人も多いでしょうが、酒はたんに入眠時間を縮めてくれるだけで、その夜の睡眠の質は挙げてくれなかったりします。絶対に飲むなとは言わないので、就寝の4時間前までに1杯だけにするなら許容範囲です。




  6. 昼寝はしない:睡眠負債の対策といえば「昼寝」が定番ですけど、ここでは週末の睡眠クオリティをあげるのが目的なので、個人的にはおすすめしません。日中に寝てしまうと、それだけ夜中に起きる深い睡眠の量が少なくなってしまうんで。おそらく日中に激しい眠気に襲われるとは思いますが、ここはぐっとこらえて夜中の睡眠クオリティを上げる方向で考えましょう。

    もし、どうしても昼寝をしたいときは、1回15分までにとどめておきつつ、就寝時刻の8時間前までに済ませるほうがいいでしょうね。ちなみに、夜勤をする日に仮眠をとっておくのは問題なく、逆に勤務開始前の短い仮眠は疲労回復に役立つので、積極的にどうぞ。



  7. ストレスホルモンを減らしまくる:夜勤あけはとにかく身体のストレスが激増してまして、ストレスホルモンの量が高くなるほど眠りにくくなります。なので、就寝前にストレスホルモンをへらすようなアクティビティを試すのはマスト。ヨガやストレッチ、瞑想、深呼吸など、具体的な方法はなんでも構わないものの、個人的にはボディスキャンが一番効く印象がありますね。



  8. 認知シャッフルを使う:上記を徹底しても、初日はまだ体内時計がフィックスされてないので、眠れないケースがあるはず。そんなときは、私は脳を疲れさせるために「認知シャッフル」をよく使ってます。くわしくはリンク先を参照していただければ幸いですが、要は「ヤクルト、猫、ピアノ、海」みたいに、まったくつながりがない単語をランダムに頭に思い浮かべるというものです。あくまで個人的な体験ですけど、脳が覚醒して眠れないときには良く効くんですよねぇ。

    ちなみに、無関係な単語を思い浮かべるのが難しい場合は、「50音順に思いつく単語を考える」とかやってみるといい感じです。認知シャッフルは手軽で効果も大きいんで、おすすめです。

 

 

ってことで、いろいろ書いてみましたが、夜勤ダメージを週末でくつがえすのが超難しいのは間違いないです。正直なところ、定番と呼べそうな手法があるわけではないので、定番のテクニックを地道に積み重ねていくしかないんですよねぇ。どうぞお大事に。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。