今週末の小ネタ:抗酸化サプリで筋肉痛は防げる? ヤバい性格のやつはネットでどう行動する? 不安やうつは親からどれぐらい受け継ぐもんなのか?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
抗酸化サプリで筋肉痛、防げる?
「抗酸化物質が筋肉痛に効くかも?」って話は昔からあるんですよ。筋肉痛は筋肉のダメージで起きるので、運動後に発生する酸化ストレスをやわらげたほうがよさそうですもんね。
では、筋トレ後の抗酸化サプリは本当に良いのか?ということで、新たな系統的レビュー(R)ががっつりと調べてくれておりました。
これは、筋トレと筋肉の損傷、酸化ストレスなどについて調べた過去の研究をまとめたもので、最終的に7件のデータをチェックして大きな結論を出してます。7つの研究のサンプルサイズは最小9人〜最大100人で、平均年齢は20±0.7~39±8.7の範囲だったそうな。
で、7件の研究がどんなことを言ってるかをまとめると、以下のようになります。
- メラトニン:メラトニンのデータは2件で、そのうち1件は1日100mgのメラトニンで細胞の酸化が抑えられ、筋肉のダメージも減るとしていた。別の1件は、1日20mgのメラトニンで体内の抗酸化レベルが改善し、負荷が高いトレーニング後のダメージを減らす傾向を報告していた。
- ザクロエキス:活動的な男性9人を対象とする研究で、ザクロエキス1日250mLによって運動後の酸化ストレスが改善された。
- タウリン:健康な男性21人を対象とする研究では、体重1kgあたり1日50mgのタウリンを飲むことで、運動のパフォーマンスが上がり、筋肉のダメージと酸化ストレスの軽減が確認された。
- ブルーベリー:活動的な女性10人を対象とする研究では、200gのブルーベリースムージーによって、低下した筋力の回復と抗酸化反応の増加が認められた。
- コエンザイムQ10:健康な男女100人を対象とする研究では、コエンザイムQ10を1日200mg摂取すと、酸化反応が抑えられた。
- オートミール:健康な男女13人を対象とする研究では、30gのオートミール介入で運動ストレスによる炎症反応と筋ダメージが減った。
ということで、全体的には運動の前か最中に抗酸化サプリを飲むことで、体のだるさや筋肉痛、筋肉の回復スピードの増加などのメリットが得られそうな感じっすね。
まー、そこまで全体のデータ精度は高くないし、 私も筋トレ用に抗酸化サプリを使ってるわけではないのでアレですが、運動前にブルーベリーを食べておくのはちょっとアリかもな。
サイコパス、ナルシスト、マキャベリストをネットの活動で見抜く方法
このブログでは何度も取り上げているのがダークトライアド。ナルシシズム、サイコパス、マキャベリズムの3つから構成される人格特性で、
- ナルシスト:誇大妄想、自己中心的、権利欲が高い、嫉妬深い。
- サイコパス:衝動的、表面的、魅力的、冷酷。
- マキャベリアン:他人を操作、冷徹、冷笑的、欺瞞的、計算高い。
といった内容になっております。このタイプと知り合いになっちゃうと、結構な確率でヒドいめにあったりしますんでお気をつけください。
でもって、新しい研究(R)では、「ダークトライアドの人たちはネットでどんな活動をするのか?」を調べてておもしろかったです。ダークトライアドの行動ってのはかなり検証が進んでるんですけど、果たしてオンラインに特有の振る舞いがあるのかってことですね。
ってことで研究チームは、322名の男女を集め(平均33歳)、みんなのダークトライアドとネットでの行動をチェック。そのうえで、おおよそ以下のような傾向を確認したそうな。
- マキャベリズムとサイコパシーが高い人は、基本は善人として振る舞いつつも、オンライン上でで自分のダークな側面を堂々と見せることが意外と多い。これは、おそらくネットでは匿名性や交流時間やペースのコントロールが簡単にできるためであるため、反社会的傾向がもたらす悪影響が低いからだと思われる。
- マキャベリズムが高い人は、「インターネットは自己表現の自由を与えてくれる!」と考えがち。マキャベリストは計算高いので、「ネットは自分の真偽を問われるリスクが少ないし、自分の行動もいろいろ変えて投稿できるし、自己表現のリスクがないぜ!」と考えて、ネットでも他人を操作するのにためらいがない(というか、ネットのほうがブーストするかも)。
- ナルシシズムは、ネットでは普通にガンガン自己アピールばかりしていた。これは、ナルシストが「お金を得るために他人を操るぞ!」って欲望よりも、「注目の的になって承認や賞賛を受けたい!」「ファンタジーな自己像を確認したい!」ってとこに関心があるからだと思われる。
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また、一般的に、ナルシストは「ネットって自己アピールに適していないなー」と感じていることが多い。その理由としては、ナルシストはオンラインでの交流がもたらす匿名性を必要としないからだと思われる。ナルシストは、ただ他人に賞賛されれたいだけなので、ネット上よりもリアルな環境の方が、「すぐに肯定されて認められる!」と判断しやすい。
ということで、サイコパスとマキャベリストは、自分の欲望のために仮面をかぶった状態っで行動するものの、リアルよりはネットのほうが本当の自分を隠すインセンティブが低いので、ときおり素が出た発言をするケースも少なくないんだ、と。
一方でナルシストは賞賛が目的なので、ガンガンに演出された自己をアピールする傾向が大きめ。手早く注目や評価を得るためにはオフラインの方が良いので、リアルの自慢にリソースを注ぐ可能性がデカいってのもおもしろいっすね。
いずれにせよ、ダークトライアドの人は、オンラインでもオフラインと同じ欲望で行動するっぽいので(金銭、地位、賞賛を得ることなど)、普通に観察してれば把握できそうっすね。
不安やうつは親からどれぐらい受け継ぐもんなのか?
「不安やうつは遺伝の要素も大きい」ってのはよく聞く話でしょう。メンタルを病むのは環境の要素もあるけれど、親からうけつぐものもかなり重要だろうって考え方ですね。確かに、同じ状況でも個人によって不安のレベルは違いますし、遺伝の要素はあるでしょうな。
では、実際のところ「親の遺伝はどれぐらい不安とうつに影響するの?」ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。
といっても、これはまだ動物実験のレベルでして、脳の作りがヒトに近いアカゲザルを対象にしたもの。サルたちの遺伝子情報を集めたうえで、恐怖を感じるサルの脳をスキャンしたところ、こんな結論に達しております。
- 子供が親から不安や抑うつを受け継ぐ仕組みには、脳領域の過剰なネットワークが中心となっている。このネットワークは、脳幹、扁桃体、前頭前野という脳の3つの領域で構成され、それらが連携して恐怖反応を制御している。
- 私たちが抱く不安の差の約35パーセントが家族歴で説明できることがわかった。
ということで、あくまで動物実験の話ですが、なんとなくの参考値としては良いのではないかと。
研究チームいわく、
不安は危険を認識し回避するのに役立つので、ある程度は進化的に有利だ。しかし、この回路が過剰に活動すると、不安障害やうつ病を引き起こす可能性がある。私たちの遺伝子は私たちの脳を形作り、私たち自身を作るのに役立っている。
とのこと。私のように不安傾向が強い人は、「自分のメンタルは結構なとこまで遺伝で決まるみたいだから、不安の良さを活かすようにしよう……」ってマインドを作るために使うといいでしょうね。