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今週末の小ネタ:緑茶とレスベラトロールでアルツハイマー予防? 成功した人ほどメンタルを病みやすい? なぜ人は急に連絡を断つのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

緑茶とレスベラトロールがアルツハイマー予防になる?

緑茶カテキンレスベラトロールは、どちらも当ブログで何度も取り上げている成分。いずれも抗酸化パワーが高いため、なにかと健康に良いって報告が多いんですよね。

 

 

そこで新しい研究(R)は、「緑茶カテキンレスベラトロールがアルツハイマー予防になるのでは?」と報告してくれていて、非常に参考になりました。

 

 

これはタフツ大学などの研究で、アルツハイマーにかかった神経細胞を使った生体外研究になります。神経細胞に21種類の化合物をテストして、アルツハイマーの原因と言われるベータ・アミロイドがどうなるかをチェックしたんだそうな。

 

 

でもって、最初のスクリーニングで何がわかったかと言いますと、「5種類の化合物がプラークを強力に予防するかも?」ってことらしい。スクリーニングに合格した化合物は、約一週間ぐらいで、プラークがほとんど見られなくなったらしい。

 

 

その5つの化合物ってのが何かと申しますと、

 

  • 緑茶カテキン
  • レスベラトロール
  • ウコンのクルクミン
  • メトホルミン(糖尿病治療薬)
  • シチコリン

 

シチコリンってのは、このブログではあまり取り上げたことがないですが、脳や神経細胞の細胞膜を維持する体内成分で、昔から高齢者の脳機能を改善すると言われてきたサプリっすね。

 

 

ちなみに、この5つのなかでも、特に無害っぽくて効果の割合が大きかったのは、緑茶の化合物とレスベラトロールの2つだったとのこと。まー、この研究が現実でも再現されるかはわからんのですが、緑茶カテキンレスベラトロールの機能が高いのはほぼ確実でして、お茶を飲むもよし、ブルーベリーを食べるもよし、好きな形で摂取量を増やしていただければと思うわけです。

 

 

 

 

成功した人ほどメンタルを病みやすいのは本当か?

その昔、精神分析学の父と呼ばれるフロイト先生が、「大成功を収めた人々は病みやすい!」みたいな主張をしたんですよ。社会で成功する人は他人より努力して疲弊したり、成功のせいで他人と比べるケースが増えて、結果として精神を病んでしまうことが多いのではないかと考えたわけですね。

 

 

では、このフロイト先生の説は正しいのかってことで、そこらへんを調べた研究(R)が出ておりました。まずは研究チームの問題意識を説明すると、以下のようになります。

 

成功によって、個人にはさまざまな心理的ストレスがかかる、うつ病や薬物乱用、さらには自死にまで至る障害が起きやすくなる。そんな考え方は昔から多く、芸術や文学の分野でもよく見受けられる。しかし、これは一般的な現象なのだろうか。

 

確かに、文学の世界などでは、成功のあとで身を滅ぼしていく人物が描かれることは多く、フロイト先生の考え方が正しいような気もしてくるわけです。

 

 

そこで研究チームは、男女約1800人(女性642人)のデータを分析。このデータは、参加者が13歳のときに調査がはじまっていて、それから35年間にわたって追跡調査を行ったものです。調査では、参加者の年収と心身の健康状態、人間関係などをチェックしてまして、人生の成功とメンタルの関係をチェックしたんだそうな。

 

 

で、分析の結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 成功しなかったグループと比べて、かなり成功したグループはより健康であるか、あるいは同じぐらいの健康状態だった。

 

  • 健康上の問題がない人の数は、成功しなかった人よりも、成功した人の方が多かった。

 

ということで、差の大きさにはばらつきがあるのの、すべての健康指標の平均値は、成功したグループのほうが良い傾向があったらしい。

 

 

また、男性の場合は、成功したグループほど子供が多く、結婚している人も多く、離婚している人が少なかったとのこと。逆に女性の場合は、成功したグループほど子供の数が少なかったらしい。これもおもしろい傾向ですね。

 

 

そんなわけで、研究チームいわく、

 

この結果は、特別に優秀な人が、成功によって人生が破滅するという考えを支持するものではない。「成功は代償を伴う」といった考え方が根強いのは、それが起こったときに目立つせいで、私たちが過大評価してしまうからだ。

 

とのこと。もちろん、この研究だと因果関係まではよくわからんのですが、とりあえず「成功した人は破滅しやすい」なんてことはないっぽいですね。

 

 

 

 

なぜ人は急に相手との連絡を断ってしまうのか?

「急にコミュニケーションが途絶える」って現象がよくあるじゃないですか。急にメールの返信が途絶えたり、メッセージを無視したりとかそんな現象のことで、ソーシャルメディアやマッチングアプリではド定番でしょう。

 

 

で、新しいデータ(R)では、「なぜ人は急に連絡が途絶えるのか?」 ってとこを調べてくれてて、おもしろかったです。

 

 

これはウェズリアン大学などの調査で、76人の大学生が対象。みんなで1回平均48分のグループセッションを行い、「急に連絡が途絶える」体験を振り返るよう求めたんだそうな。その結果、なぜ私たちは急に連絡が途絶えてしまうのかと言いますと、

 

  • わりと多くの人は、正直な会話をするために必要なコミュニケーション・スキルが不足している。コミュ障や社会不安を原因に挙げる人が多かった。

 

  • 実際に相手と会うことで、いまの関係性が変わってしまうという恐れが強く、そのせいで連絡を切る人も多かった。

 

  • 相手に対して「有害」「不快」「不健康」などの印象を持ったために、連絡を打ち切る人も多かった(45%ぐらい)。

 

  • 数は多くないが、「直に拒絶すると相手が傷つきそうだから」という理由で連絡を打ち切る人もいた。

 

  • しかし、結局のところ、連絡を断つ原因として最も多かったのは「その人との関係を追求することに興味がない」だった。

 

だったそうな。こうして見ると、相手からいきなり連絡がなくなったら、普通に「あ、こちらに興味がなくなったんだな……」と考えるのが、最も妥当性が高いってことですな。もしかしたら、コミュニケーションスキルの問題に怯えて連絡してくれない可能性もありますが、そこはあんま期待しないほうがよさげ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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