このブログを検索

高い能力を発揮するためには「 アイデンティティへの集中」が 欠かせないぞ! と言う本を読んだ話


エクセレンスを創る(Learned Excellence)」って本を読みました。著者のエリック・ポテラット先生は、30年のキャリアを持つパフォーマンス心理学者で、ロサンゼルス・ドジャースのコンサルタントをやっている人らしい。

 

で、本書は、「高いパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか?」ってのをテーマにした一冊で、世界最高のパフォーマーはどんな技法を使っているのかをまとめてくれております。似たような本はいくつも存在しますが、本書は「エクセレンス(卓越性)」ってところに焦点を当てていて、類書にない視点もいくつかあって良かったです。

 

ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。

 

  • 世界最高のパフォーマーは、生まれつき優れた肉体や頭脳を持っていることが多いが、それだけではチャンピオンにはなれない。本当に優れた選手と普通の選手をへだてる要素はメンタルである。世界最高のパフォーマーは「卓越性」と呼ばれる能力を学んでいる。

 

  • 最も私たちのパフォーマンスを下げるのは、「他人が自分について何を言っているのか?」「他人は何を考えているのか?」を気にしすぎてしまうところである。これによって、みな自分がなにをしているのかがわからなくなってしまう。

    一方で、最高のパフォーマーは、自分の評価を気にすることなく、自分らしさに集中するスキルが高い。ハイパフォーマーは、自分が何者であるかに注意を払い、そこから力を引き出すのがうまいとも言える。

     

 

  • つまり、卓越性を手にする鍵の第一は、アイデンティティに集中することである。これは私たちが生まれつき持っている特性で、たとえば幼児は、自分の行動が他者からの評判にどう影響するかを気にせず振る舞う。しかし、大人になるにつれて、頭の中にある「他人にどう思われるか」という声が脳内に増え、リスクを避けて行動するようになる。

 

  • 自分のアイデンティティに集中するには、そもそも自分のアイデンティティを知っておく必要がある。「自分は何者なのか?」「私は何を大切にし、何を支持するのか?」などの価値観を掘り下げないと、どこに集中していいかがわからなくなってしまう。そのためには、「自分が大切にしていることなにか?」「自分にエネルギーと喜びをもたらすものは何か?」「自分の核となる特徴や特性は何か?」といった質問の答えを書き留めるとよい。これがあなたのアイデンティティ・マーカーとなり、より自分にフォーカスできるようになる。

 

  •  

    上記の作業を行ったら、さらに数週間かけて深く考え、アイデンティティのリストを最も本質的な要素に絞り込む。その上で、重要な決断を迫られたときや、自分の評判が気になるときは、これを思い出してみるとよい。そうすることで、他人ではなく自分のために行動することができるようになる。

     

 

  • 自分のアイデンティティに忠実であり続ければ、評判は後からついてくる。フィギュア スケート選手のネイサン・チェンは、2022年の冬季オリンピックで「自分のアイデンティティマーカーを作る」作業を行い、観客の視線が気になり始めたときに、このリストを参照した。「自分はなぜそこにいるのか?「自分はなぜスケートが好きなのか?」といったことを思い出すことで、彼は自分のアイデンティティに集中できるようになり、良い成績を出した。

 

  • マインドセットの重要性はよく耳にするが、ハイパフォーマンスを発揮するために最も重要なのは、自分でコントロールできることをコントロールし、それ以外のことは無視することである。自分でコントロールできるのは、自分の態度、努力、行動だけなので、それ以外に目を向けても仕方がない。

    このマインドセットを鍛えるには、自分でコントロール可能なものは自分と一緒に円の中にあり、それ以外のものは円の外にあると想像してみるとよい。たとえば、上司への態度は円の中にあるが、上司の反応は円の外側にない。いつもこのような円を意識し、つねに円の中にとどまり、自分がコントロールできるもの、つまり態度、努力、行動に集中するのが、良いマインドセットを発揮するための鍵である。

 

  • ただし、私たちが使うべきマインドセットは、 シチュエーションによって異なる。ほとんどの人は、自分の仕事に最適化したマインドセットを使っており、家族、地域社会、友人グループ などと やりとりをする時にも、仕事用のマインドセットを使ってしまう。 しかし、実際に 高いパフォーマンスを発揮するには、それぞれの役割に適した異なるマインドセットが必要となる。

 

  • この問題に対処するには、その役割に最適なマインドセットを定義し、 状況が変わるごとにマインドセットも変える方法を学ぶ必要がある。 具体的には、自分の人生で必要な役割ごとに、それぞれのマインドセットを定義する言葉を3~5個選ぶ。たとえば、仕事では競争心、慎重さ、ガッツといったマインドセットが 必要かもしれないが、家庭では、共感する、忍耐強さ、遊び心 なども重要かもしれない。 これらの特性を 紙に書き出して、常に意識しておくことで、 状況ごとに適したマインドセットを使えるようになる。

 

  • どんな 優秀なパフォーマーにもミスはあり、それによって呼吸、心拍数、発汗が増加し、明晰で理性的な思考が停止することはある。 しかし、最高のパフォーマーは、 ミスを犯したときに気を取られるのではなく、ミスのことをすぐに忘れ、目の前の仕事に集中し直すことのがうまい。これは心理学で「コンパートメント化」と呼ばれており、ミスを犯した直後にミスのことを考えてしまう現象を防ぐ ことを意味する。

 

  • ミスを考えないようにするには、心の中にバーチャルなブラックボックスを作り(文字通り「黒い箱」を思い浮かべる)、その中にミスを詰め込むとよい。 想像の箱の中にミスを閉じ込めれば、人間のストレス反応をその場で止めることができる。

    その後、イベントが終わったら、 想像の箱を開け、何が起こったかを確認。 ミスが起きたときに何をしていたのか、なぜミスが起こったのかを 改めて評価すればOK。

     

 

  • どのような建物でも、柱が1本や2本では構造物として弱い。しかし、5本や6本の柱があれば、たとえ2、3本が損なわれても、その家は揺るぎづらくなる。 これは人生でも同じで、仕事、人間関係、健康、趣味、文化といった複数の柱がある。「卓越性」を達成するには、これらの柱すべてを強化するのがよい。もし仕事しか柱がないと、 この柱が崩れた時に人生そのものが崩壊してしまう事実、多くのトップ・パフォーマーは、キャリアに没頭するのと同時に、 必ず休暇のための スケジュールを取り、そこに健康、趣味、精神性など、人生の他の柱のための時間を確保している。

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search