コラーゲンって実はメリットだらけなのではないか?説「美肌、運動パフォーマンス改善、関節痛」
コラーゲンの話をしてみましょう。かつて疑似科学クラスタのあいだでは「コラーゲンなんて飲んでも無駄!胃の中でアミノ酸に分解されるんだから、肌が改善する分けないでしょ!wwww」とか言われたもんですが、その後で研究が進みまして、
- アレ?意外とコラーゲンって有用じゃない?
って論調が出てきたんですよ。まぁ胃の中でコラーゲンが分解されるのは間違いないものの、アミノ酸の組成には違いがあるんで、そこらへんが違いを生んでるんでしょうな。
ってことで、ここ数カ月でも、コラーゲンに関するナイスな報告が続いてますんで、だだっとまとめておきます。
コラーゲンで肌は若返るか?
コラーゲンといえば肌の効果が有名ですが、最近その効果を調べるメタ分析(R)が出ておりました。
これはコラーゲンサプリが皮膚の老化を改善するかを調べたもので、おもに肌の潤い、肌の弾力、シワの変化をチェックしています。具体的には、一般的な男女967人を対象にした調査で(ほとんどが女性)、コラーゲンに関する14件のランダム化比較試験をメタ分析したものです。そのうち8件の試験はアジアで、4件の試験はヨーロッパで、2件の試験は北米で行われております。
コラーゲンサプリの使用量は、だいたい0.3グラムから10グラムのあいだ。コラーゲンの原料は大半が魚で、8つの研究では、コラーゲンのほかに、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビオチンなどの成分も含まれていたそうな。サプリメントの摂取期間は4週間から12週間ぐらいだったそうな。
その結果、
- プラセボと比較して、コラーゲンは皮膚の水分量を増加させ(効果の大きさは中程度)、弾力性を高め(効果の大きさは中程度)、しわを減少させた(効果の大きさは小)。
という結論が得られたそうで、「これはわりとすごいのでは……」って気になっております。まー、メタ分析としてはデータ数が少ないし、大半のサプリがコラーゲン以外の成分を含んでいるんで、実際の効果量はもっと低いのかもしれませんが。
とはいえ、コラーゲンにとって良いデータなのは間違いなく、あらためて「そう簡単にディスれる成分でもないなぁ」と思った次第です。
コラーゲンで体内のコラーゲンは増えるか?
続きましては、「運動前にコラーゲンを飲むと、さらに体内のコラーゲンが増えるぞ」ってデータ(R)です。
これは男性10名(平均26歳)を対象にした実験で、少なくとも1年以上の筋トレ経験があり、バーベル・バックスクワットを習慣的に行っている人だけを選んだそうな。
試験の内容をざっくり説明すると、
- 50mgのビタミンCを含む300mLの飲料または、0、15、30gの加水分解コラーゲンを含むドリンクを飲む。
- みんなに10RM負荷でバーベル・バックスクワットを4セットやってもらう。
- 血液サンプルを7時間にわたって採取し、いろんなポイントを評価する。
みたいになります。その結果がどうだったのかと言いますと、
- 30グラムのコラーゲンドリンクは、15グラムのコラーゲン、またはプラセボと比較して、よりコラーゲン合成が増加した。プラセボと15グラムのコラーゲンの効果に差はなかった。
- コラーゲンの分解は、試験1時間前(飲料を飲む直前)と比較して、試験6時間後に全グループで減少したが、ドリンクのあいだで反応に差は認められなかった。
- いくつかのアミノ酸の血清濃度には用量効果が認められた。グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、ロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニンの最高濃度は30グラムのコラーゲンで観察され、摂取後1~1.5時間でピークに達した。
ということで、1回30グラムのコラーゲンであれば、運動後のコラーゲン産生量が増えるかもしれないらしい。ちなみに、ここで使われたコラーゲンはマイプロテイン社のものだったそうで、これは日本でも手に入りやすくていいですな。まぁ運動前のプロテインでも似たような効果を得られそうな気もしますけど、気になる方はお試しください。
関節の痛みにコラーゲンは有効か?
さらに最近は、「コラーゲンで関節痛がやわらぐ!」みたいな報告(R)も出ておりました。こちらは変形性の膝関節症に悩む男女243人(平均54~69歳)のデータをまとめたメタ分析で、8件のランダム化比較試験を精査して大きな結論を出してくれております。試験期間は3~6ヵ月で、使われたコラーゲンの量は1日40mg(6試験)、1日10mg(1試験)、指定なし(1試験)って感じ。
その結果をざっと見てみると、
- 二型コラーゲンのサプリを飲むこと、痛み(10点満点で-1.65点ぐらい)と変形性関節症の重症度が軽減した(WOMAC指数で-8.91点ぐらい)。
ということで、変形性膝関節症の重症度については、二型コラーゲンサプリは「症状が明らかに改善した!」と実感できるレベルの効果をもたらしたらしい。うーん、これもなかなか良い報告ですね。関節の炎症に使うにはわりと良いのかもですな。
コラーゲンペプチドで運動のパフォーマンスは向上するか?
最後に「コラーゲンで運動のパフォーマンスが上がる!」ってデータ(R)を見てみましょう。
こちらは32名のランナー(平均28歳)が対象で、実験の期間は12週間ぐらい。参加者には毎日15グラムのコラーゲンまたはプラセボを摂取してもらいつつ、有酸素運動と筋トレを同時に行ったそうな。
サプリメントは、トレーニングの2時間前と直後に摂取してもらい、運動の内容は、60分の中強度のランニングと15分の筋トレって感じだったらしい。そのうえで、1時間のランニングでみんなのパフォーマンスを比較したところ、
- タイムトライアルの成績は両グループとも向上したが、コラーゲンを飲んだグループは、プラセボグループよりもタイムトライアルの成績が向上した(+1,727m)。
- コラーゲングループは乳酸閾値での速度が時速0.68キロ増加し、これはプラセボグループの変化よりも大きかった。
という結果だったそうで、めっちゃ小規模な実験ではありますが、十分に期待の持てる結果じゃないでしょうか。ちなみに、ここで使われたコラーゲンは、グリシン(22.2%)、プロリン(12.7%)、ヒドロキシプロリン(11.9%)、グルタミン酸(10.2%)って組成だったらしいんで、ここらへんがパフォーマンスに貢献してるんでしょうな。