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イメージする瞑想と呼吸に集中する瞑想の違い

Buddistmeditation

そんなわけで、「向源」って仏教イベントで真言宗と臨済宗バージョンの瞑想を体験してきたわけですが、その違いがおもしろかったのでメモ。




イメージを展開させる真言宗
真言宗の瞑想は「阿字観(あじかん)」と呼ばれまして、頭をからっぽにするのではなく、バリバリに脳を働かせるのが特徴。具体的には、

  1. 軽く柔軟体操
  2. 目を閉じて何度か深く呼吸
  3. 息を吐く際に心のなかで「アー」と唱える
  4. 数分ほど「アー」と唱えつつ呼吸
  5. 小さな満月を自分のなかにイメージする
  6. 満月が少しずつ大きくなっていく様子をイメージ
  7. 満月が自分の体を超えて建物のサイズを突破
  8. さらに満月が大きくなり日本のサイズを突破
  9. さらに世界のサイズを突破
  10. さらに地球を突破
  11. 太陽系を突破
  12. 銀河系を突破
  13. 宇宙を突破
  14. 今度は満月がちぢんでいく様子をイメージ
  15. 宇宙から自分のなかへ満月のサイズがもどる
  16. 深呼吸して終わり

みたいな感じ。いやー、やっぱ空海さんの手法は派手ですねぇ。手順が複雑なんで、これをガイダンスなしで行うのはムリっすね。


宇宙サイズでイメージを展開させるのは、スピリチュアル系の世界ではおなじみの話で、「ゲートテクニック」とか呼ばれる手法によく似ております。スピ系では、ここから「至高体験」とか「宇宙との一体感」みたいなところへ進みがちですが、弘法寺の渡邊弘範さんは「阿字観では悟れません」と明言しておられました。ここ大事。


結局のところ、なんらかの超越的な目標に向かうんではなくて、マインドフルネスな状態のキープを目指す点では、どの宗派も似ているのかなーと思います。阿字観の場合は、イメージの力で脳のGPS機能をいったん停止させてる印象がありますけど、よくわかりません。


呼吸に集中する臨済宗
 一方で臨済宗の瞑想「数息観(すそくかん)」は超シンプル。具体的には、

  1. あぐらで座った状態から、いったん上体を前にたおす
  2. おヘソを突き出すイメージで背筋を伸ばす
  3. 前方1.5mのあたりをぼんやりと見つめる(目は閉じない)
  4. 吐く息を数える
  5. 吐く息を10まで数えたら、また1にもどる
  6. 息を数え続ける
  7. 意識がそれたら静かに呼吸のカウントにもどる

これだけ。1セット25分で、ひたすら息を数え続けていけばOKらしい。これはマインドフルネス瞑想でもおなじみの手法で、認知療法なんかでも取り入れられてますので、わりと実践しやすいかと思います。


上座部仏教(原始仏教)なんかだと、ここからさらに「カウントを止めて息の出入りだけに集中する」って段階に向かうんですが、「とにかく息を数え続ければいいんだ!」ってとこだけにポイントを絞るのもわかりやすくてよいかと。どのみち集中が深まっていけば、息のカウントも意識の背景に溶け込んじゃいますからね。


指導にあたった龍雲寺住職の細川晋輔さんいわく、「坐禅をしても何も得られない。いままで凄い時間を坐禅に費やしてきたが、特に得たものはない。その代わりに何かを捨てることはできる」とのこと。これまた大事なポイント。ミニマリストな方には、受け入れやすい発想じゃないでしょうか。


まとめ
そんなわけで、どちらのお坊さんも、瞑想は何かを得るためにやるんじゃないよ!と明言してたのが印象的。


もちろん、瞑想法に優劣はありませんので、黙ってじっとしてるのがニガテな方は「阿字観」を、とにかく手軽に実践を続けたい方は「数息観」をやってみればいいんじゃないでしょうか。個人的にはミニマリストな思考に共感してますんで、わたしは呼吸に集中するパターンでいきたいと思っております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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