なぜあなたはいつも時間に遅れるのか?
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時間の使い方がヘタな人は展望記憶の使い方がヘタ?
「なぜあなたはいつも時間に遅れるのか?」ってタイトルの論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはワシントン大学の実験で、「時間ベースの展望記憶」(TBPM)について調べたもの。TBPMってのは「時間を基準にして未来に何をするかを覚えておく機能」のことで、
- 12時間おきに薬を飲む
- 明日の6時にFAXを送る
みたいなタスクの実行に関わっております。いつも約束に10分ぐらい遅れたり、定期的なルーチンをこなせない人は、TBPMの使い方がヘタなんじゃないの?って仮説を立てたわけですね。
時計を見ずに時間の経過を正確に見積もれるか
参加者は20代の学生36人と、60〜80代の男女34人。実験デザインはこんな感じになっております、
- トリビアクイズに答えてもらい、何分が経過したかを感覚で判断(時計の確認はできない)
- 続いてジグソーパズルにチャレンジしてもらい、大量にピースをそろえるほど良い商品がもらえる(このときは時計が確認できる)
- 最後に、再び時計を見ずにトリビアクイズに答えてもらう
- 作業1〜3を終えるまでの時間が20分ピッタリになったら商品がもらえる
ちょっとややこしいですが、基本的には、時計を見ずにどこまで時間の経過を正確に判断できるかを調べたんですな。
また、この際に、参加者は3つのグループに分類されております。
- 無音の部屋で作業をする
- 短い曲(2〜3分)をBGMにしながら作業をする
- 長い曲(5〜6分)をBGMにしながら作業をする
果たして、BGMの有無で時間の見積もりに差が出るのか、と。
時間を守れる人の特徴とは?
というわけで、結果です。
- 時間の見積もりの上手い下手は、ほとんど年齢に関係がない
- 時間の見積もりが下手な人は…
- 「時計を見てもいい」って状況でも時計を見ない(≒自分の感覚を過信している)
- ジグソーパズルのタスクで「もう少しピースをそろえるぞ!」と言いたがる(≒欲深い)
- 長い曲をBGMに流したときほど、時間の見積もりが甘くなっていく
- 時間の見積もりが上手い人は…
- ちゃんと時計を見る
- ジグソーパズルのタスクを控えめに抑える
- 「自分が皿を洗うときは10分ぐらいだな…」という基準を持っている
「時計を見る」なんてのは超当たり前の話ですが、時間の見積もりが下手な人ほど、実は時計をチェックしてない傾向があったみたい。なんとシンプルな理由(笑)
あと重要なのが、自分のなかに「明確な時間のモノサシ」があるかどうか。TBPMが得意な人は、過去の記憶をベースにだいたいの時間が把握できるので、背景の音楽とかに感覚を左右されないらしい。なるほどねぇ。
逆に言えば、自分のTBPMに自信がない人は、とりあえず時間が短い曲を流しまくっとけば、大事な約束には遅れずにすむのかもしれませんな(ナパーム・デスとかピコ太郎とか)。もちろん、時間を守れない理由としては、他にも「誠実性が低い」とかもありましょうが、とりあえず試してみてはいかがかと。