運動しすぎて風邪を引いちゃった!をプロバイオティクスが防ぐかも
運動の後は免疫システムが低下する
昔から「スポーツマンほど意外と病気になりやすい」って話がありまして。実際、長距離ランナーやボディビルダーさんなどは、風邪を引きやすい人が多かったりします(1)。
その原因には諸説ありますけど、有力なのは「ハードワークで免疫システムの働きが低下するから」ってやつ。そもそもエクササイズの後は誰でも免疫システムが低下するんだけど、スポーツマンは運動量が多いせいで悪影響がデカくなっちゃうんだ、と。
が、近ごろ「運動で免疫が下がっちゃう問題に効くんじゃない?」と言われてるのが、プロバイオティクスであります。いわゆる腸内細菌サプリですね。
エクササイズで大事なアミノ酸が減る
というのも、ご存じのとおり「腸は免疫システムの要」なんですが、さらにエクササイズに必要なアミノ酸(トリプトファン)のレベルもコントロールしてるみたいなんですよ(2)。つまり、
- プロバイオティクスを飲んで腸内が元気に
- おかげで運動をしても血中のトリプトファンを維持
- 免疫システムが正常に作動!
みたいな推測が成り立つわけですね。
で、そのへんを調べてくれたのが、近ごろ出た論文(3)であります。33人の男女を対象にした実験で、平均年齢は27才。長距離走のアスリートだけを選んだみたい。
ハードなエクササイズの後にプロバイオティクス
実験期間は12週間で、参加者を
- プロバイオティクスを飲むグループ
- プラシーボのグループ
の2つに分類。実験前と同じエクササイズを続けるように指示したうえで、免疫のマーカーをチェックしたそうな。
で、どんな違いが出たかといいますと、
- 両グループに、体型や食事量、安静時代謝などの違いはなかった
- ただしプロバイオティクスを飲んだグループは、風邪の発症率が低かった
- エクササイズ後のトリプトファン濃度も高かった(有意じゃないけど)
みたいな感じ。免疫マーカーについてはボヤッとしつつも、とりあえずプロバイオティクスで風邪は引きにくくなったみたい。
乳酸菌とビフィズス菌が大事っぽい
もちろん、これは小規模なデータなんですが、2015年のレビュー論文(4)でも「(プロバイオティクスを飲んだアスリートは)そこそこ現実的に意味があるレベルで風邪を引く回数やツラさ、期間などが減った」って結論が出てたりします。やっぱプロバイオティクスは、運動の免疫低下に効くのかも。
ちなみに、今回の実験で使われたプロバイオティクスの中身はこんな感じ。
- Bifidobacterium bifidum W23
- Bifidobacterium lactis W51
- Enterococcus faecium W54
- Lactobacillus acidophilus W22
- Lactobacillus brevis W63
- Lactococcus lactis W58
ビフィズス菌と乳酸菌がメインっすね。上記のレビュー論文でも、たいていの実験はビフィズス菌と乳酸菌を使ってまして、「運動をしてるのに風邪を引きやすい…」みたいな方はお試しあれ。