チアシードはどこまで健康と美容に効くのか?問題
健康食品としてのチアシードの実力は?
だいぶ前に「チアシードじゃ痩せない!」なんて話を書きました。いくらスーパーフードと賞賛されようが、精度の高い分析でガッツリ効果を否定されちゃったんですな。
ただし、まだ希望がありそうなのが、チアシードの健康効果であります。チアシードの栄養価が高いのは間違いないんで、ダイエットには意味がないとしても、少なくとも健康にはいいのではないか、と。
肥満ぎみの参加者がチアシードを半年食べ続けた
ってところで参考になるのが、 近ごろトロント大学から出た論文(1)。肥満ぎみで糖尿病をわずらった患者さん62名に、6カ月ほどチアシードを食べ続けてもらったんですね。
その際に参加者を半分にして、
- 1日40gのチアシードを食べる
- 1日26gのオーツ麦を食べる
の2グループにわけたうえで、みんな普段のカロリーからマイナス500kcalを減らすように支持されたそうな。
チアシードでそこそこの違いは出たが…
それでどんな違いが出たかといいますと、
- チアシードグループのほうが
- 体重が減っていた (-1.9 vs -0.3 kg)
- 体内の炎症レベルも減っていた(CRP)
- アディポネクチンも増えていた
- 体脂肪率の変化には両グループとも差はなし
- HbA1cや空腹時血糖値にも差はなし
みたいな感じ。チアシードのほうが体重や炎症が減ったものの、体脂肪や糖のコントロール能力には違いがなかったんだ、と。
個人的にはパッとしない印象
この結果をどう見るかは難しいんですが、個人的には「パッとしないなぁ…」って印象だったりします。炎症やアディポネクチンは改善してますが、数値をよくみると、あくまで統計的に差が出たぐらいのレベルなんですよね。
体重の変化についても、このデータだとよくわからない感じ。1日に500kcalずつ削ったはずなのにオーツ麦グループが0.3kgしか減ってないんで、おそらく参加者の報告に間違いがあったんじゃないじゃないかなぁ、と。
チアシードの外皮が栄養吸収を阻害している
というと、「これだけビタミンや食物繊維が豊富なのになんで大した結果が出ないの?」ってとこが気になりますが、研究者は「チアシードの外皮がジャマしてるのかも」って説を主張しておられます。チアシードの外皮は固くて消化ができないため、せっかくのビタミンやミネラルの吸収がブロックされちゃうんじゃないかって話です。うーん、なるほど。
そう考えると、すり潰したチアシードならよさげなんですけど、いまのところ外皮を取ったパターンで調べた研究がないのが難点。チアシードを試したい人は、すりこぎで粉状にしてから食べるといいかも。
ってことで、この実験を見る限り、チアシードの健康効果にも疑問符がついたかなーって印象。肥満ぎみの被験者で大した成果が出てないので、おそらく健康体の人が食べても意義は薄そうな感じですかね。あくまで嗜好品としてどーぞ。