101才のおじいちゃん、103才になってからさらに心肺機能が向上するの巻
心肺機能は超大事!ってのはもはや言うまでもないところ。なにせ心肺機能が高い人ほど長生きなのは間違いなく、最近ではIQの高さとも相関があるって話ですんで、とりあえず有酸素運動をやっとくのが吉。
ってところで、新しく出た論文(1)では「100才を過ぎても心肺機能は向上する!」ってすごい話が出ておりました。
従来は中年になると心肺機能は上がらないと言われていた
これはイヴリ=ヴァル=デソンヌ大学の調査で、ロベール・マルシャンという105才のサイクリストを対象にしたもの。まったく知らない方だったんですが、2017年1月に「105歳の仏男性、自転車で新記録」ってニュースになってました。
なんでも人生でずっと庭師をやってたのに、67才から本格的に自転車競技をはじめて、100才になってからもガンガン世界記録を更新してるらしい。うーん、こんな超老人がいたのか…。
研究者がマルシャンさんに興味を持ったのは、「心肺機能は何才までアップするか?」を調べたかったから。一般的に心肺機能は40〜50才あたりから下がりはじめて、それ以降はもう改善しないと考えられてたんですな。
50を過ぎても高負荷トレーニングで心肺機能は上がる
ところが近年の研究では、50代過ぎでも強度の高いエクササイズをすれば心肺機能が向上することがわかってきたんですよ。今回の調査を行った研究者いわく、ウォーキングとかジョギングみたいな軽い運動ではなく、HIITのように一時的に高い負荷をあたえるようなエクササイズであれば、何才でも心肺機能を伸ばせる可能性はあるんだそうな。
調査が行われたのはマルシャンが101才になった直後のこと。この時点でマルシャンさんは病院のお世話にはなっておらず、心疾患の兆候すらゼロだったから。まさに100才としては異例ずくめの健康体だったそうな。
101才のご老人が行った高負荷トレーニング
で、研究ではまず101才の時点でマルシャンさんの最大酸素摂取量(心肺機能の指標)をチェック。そのうえで、マルシャンさんには新たなトレーニング法を試してもらったんだそうな。その内容をざっくり説明すると、
- 週のトレーニングのうち80%は軽い負荷でサイクリング
- 残りの20%はかなりキツい負荷でサイクリング
って感じです。強度にメリハリをつけるタイプのトレーニングで、HIITの一種ですね。
このトレーニングおける負荷はマルシャンさんの主観でキツさを判断したそうで、20点満点を「もう一歩もペダルをこげないレベル」だとして、だいたい15点が「キツい負荷」、12点ぐらいのラクにこげるペースを「軽い負荷」として設定してそうな。
調査の期間は2年で、マルシャンさんは実に1万キロを走破したそうな。ハンパないですねぇ。
2年で13%も心肺機能がアップ!
そこで再び心肺機能を計ったところ、
- 101才のときより最大酸素摂取量が13%向上!
- 心肺機能が健康な50才と同じレベルまで改善!
- ペダルをこぐパワーが40%向上!
って結果が出たそうな。なんと103才にして心肺機能がさらに向上するという衝撃の成果であります。
研究者いわく、
100才を超えて人生の最終期に入っても新たな記録を立てることはできるし、パフォーマンスと最大酸素摂取量(VO2max)も改善することができる。これは「死を避ける」のではなく、「人生に新たな人生を加えている」とみるべきだろう。
とのこと。まぁサンプル数1の研究なんで、これが正しいのかは何とも言えません。たんにマルシャンさんがスーパー遺伝子の持ち主かもしれませんし、たまたま101才のときより体調が良くなっただけかもしれませんし。
とはいえ、近ごろは多くのデータで「オッサンでも心肺機能は伸ばせる!」って見解が普通になりつつありますんで、いくつになってもHIITはやっといて損なしじゃないでしょうか。おそらく、一定の負荷で有酸素運動をするんじゃなくて、メリハリをつけるのが大事なんでしょうなぁ。あと「人生に新たな人生を加える」ってフレーズはかっこいいので、どこかで使おうと思いました(笑)