なぜたいていの人はプレゼントの選び方を間違えるのか?の心理学
なぜたいていの人はプレゼントのチョイスを間違えるのか?
人様に喜んでもらえるようなプレゼントを贈るのは難しいもんです。どんな人でも、自分が贈ったものに対して微妙なリアクションを取られたことはありましょう。
でもって、近頃よんだ論文(1)では、「なぜたいていの人はプレゼントのチョイスを間違えるのか?」って問題をガッツリと調べてくれてていい感じでした。
これはシカゴ大学の研究で、3つの実験をとおして「プレゼントを贈る側ともらう側の食い違い」をチェックしております。
たとえばどんな実験だったかと言いますと、
- 357人の参加者をプレゼントの「送り手」と「受け手」にわける
- 全員に「個人名(受け手の名前)が入ったマグカップ」と「機能的なマグカップ(エルゴノミクスデザイン)」の2つを見せる
- 自分だったらどちらのマグカップを選ぶかを決めてもらう
みたいな感じです。短期的なインパクトがあるプレゼント(「自分の名前がついてる!」)と長期的な満足感が高いプレゼントを見せられた場合に、送り手と受け手で認識の差があるか?を調べたわけですな。
たいていの人はリアクションを優先してしまう
その結果はと言いますと、
- 「送り手」は短期的なインパクトを好み、「これを送られたら喜ぶだろうなぁ」と思いやすかった
- 「受け手」は「別にどっちでもいいけど長く使えるものの方がいいよなぁ」と思いやすかった
みたいな感じです。つまり、プレゼントを贈る側は、相手が目の前でリアクションを取ってくれそうなプレゼントを好みやすいんだけど、贈り物をもらうほうはそんなことはまったく重視してないんだ、と。言われてみればそうかもですな。
研究者いわく、
他人のリアクションを見ることから得られる喜びは、一般的に考えられているよりも非常にパワフルだ。
とのことで、どうも多くの人間のなかには、「相手が本当に何を欲しいか?」ではなく、「どれだけその場で反応があるか?」を重視しちゃうバイアスがあるらしい。そのおかげで、ついつい選択を誤っちゃうわけですね。
なんだかんだで贈り物は本か現金がベスト?
ちなみに、この研究ではオンラインを使った大規模な調査もやっていて、「かつてもらったプレゼントで本当にうれしかったものは?」と尋ねたところ、
- 本か現金がベスト!
といった答えがもっとも多かったそうな。ってことは、プレゼントに迷ったら現金をあげちゃったほうがいいのかもしれませんが、それはそれでちょっと勇気がいりますねぇ(笑)
この不均衡は驚くほど強固だ。今回のリサーチでは、プレゼントを与える側が「自分は受け手だ」とイメージしてみれば、贈り物への好みが変わることがわかっている。しかし、それでも送り手の好みは容易に変わらない。
だそうで、どうにも「相手の反応を優先しちゃうバイアス」はかなり強力らしい。
バイアスを回避するためのイメージトレーニング
ただし、いちおうバイアスを回避する方法も本論には述べられていて、
- 相手が自分の目の前ではプレゼントを開かないとしたら?と考えてみよう!
ってイメトレが効果的らしい。相手が自分の部屋でひとりでプレゼントを開けたらどう思うか?を想像してみると、一時的にバイアスからは自由になれるんだそうな。
多くの人はこのバイアスのせいで、経済的な選択、キャリアの選択、消費の選択などが曇らされていると思われる。
ってことで、確かに、プレゼントだけじゃなくて人生のいろんな場面で関わってきそうなバイアスですな。とりあえず「相手のリアクションが確認できなかったら自分の選択は変わるか?」と想像してみるのがよさげです。