エナジードリンクはどれぐらい体に悪いのか?をガッツリ調べてみたよーという論文の話
よもやエナジードリンクが体にいいと思ってる方はおりますまいが、「具体的にどこまで悪いのか?」ってのは未知数だったりします。いちおう「エナジードリンクでストレスがドバドバ出るよ!」ってデータは過去にあったものの、どんぐらいのダメージが出るのかはよくわかんないんですよね。
ってことで、近ごろ「エナジードリンクの健康被害ってどれぐらい?」ってのを調べた論文(R)が出まして、なかなか参考になりました。
これは38人の若者(18〜25歳)を対象にした実験で、全体に6パターンのドリンクを飲んでもらっております。
- 普通の経口補水液(コントロール用)
- 経口補水液+タウリン400mg(100mlごと)
- 経口補水液+カフェイン32mg(100mlごと)
- エナジードリンク(レッドブル)
- 経口補水液+カフェイン+タウリン
- 経口補水液+グルクロノラクトン31mg(100mlごと)
「レッドブルと経口補水液だけ飲めばいいんじゃないの?」と思っちゃうかもですが、もしエナジードリンクが体に悪かった場合に「どの成分がダメージを与えたのか?」ってのがわからないんで、これぐらいガッツリくらべた方がいいんですよ。
で、実験はクロスオーバー形式になってて、参加者はランダムに上のドリンクのいずれかを数日にわたって朝の空腹時に服用。さらに、日によって1,000mlと750mlの2パターンで飲む量も変えて、どんな違いが出るかをチェックしたそうな。
具体的にどんな検査をしたかと言いますと、
- 血圧チェック
- 心電図チェック
- 心拍変動
- 血液検査(血中のグルコース、インスリンレベルなど)
みたいになってます。エナジードリンクで心疾患や糖尿病リスクがどれぐらい上がるかを調べたわけっすね。
結果、以下のような傾向が確認されました。
- 1,000mlと750mlではどちらも大した差が出ない(血中のカフェイン濃度だけ差が出てるけど、こりゃ当たり前ですな)
- 飲んでから1時間後は、すべてのカフェイン入りドリンクで最高血圧が上がった。同時に、エナジードリンクと経口補水液+カフェインの2つは最低血圧も上げた。ただし、血圧の上昇は3時間後にベースラインにもどった
- 飲んでから1時間後は、エナジードリンク飲み心拍数が上がった(1分あたり平均4拍)
- すべてのドリンクはインスリンレベルを上げHOMA-IRを増やしたが、なかでもエナジードリンクの上がり幅が大きかった
- エナジードリンクのみ、吐き気や焦燥感をの副作用が確認された(ただし有意ではない)
みたいになってます。いろいろ並べてみましたが、「意外と大した悪影響はないなー」ってのが正直なところっすね。
もちろん、エナジードリンクは血圧や心拍数、糖代謝に影響をあたえてるんだけど、
- 最高血圧は8mmHg、最低血圧が5mmHgぐらいしか上がってない
- 糖代謝の問題も外れ値が結構あるので正味なところはよくわからない
って感じでして、そこまで目立った変化でもないんですよ。このぐらいであれば長期的に見てもそんなに差は出ないかもなー、という。そもそも、この実験みたいに1時間で1リットルのエナジードリンクを飲む人は少ないでしょうしね。
まぁ普通に考えれば、エナジードリンクって糖質とカフェインの混ぜ物に過ぎないので、他のソフトドリンクと比べて大きなダメージがあるってのは考えにくいですもんね。そんなわけで、エナジードリンクの問題については、過去の大規模なソフトドリンク研究と同じように考えとけばいいんだろうと思います。
要するに、ソフトドリンクもエナジードリンクも食品としての満足度が低いので、「そのぶんだけ肥満につながりやすいよ!」みたいな話です。当然、エナジードリンクのガブ飲みがいいわけじゃないですが、声高に危機感を煽るレベルでもないですよー、ってぐらいの落としどころですかね。