なぜエナジードリンクでテンションが上がる(ような気になる)のか?問題
エナジードリンクはどこまで体に悪いのか
よもやエナジードリンクが体にいいと思ってる人はおりますまいが、いざどれだけ悪影響がデカイのかと言われれば、そこまで実験の知見がたまってないのも確かであります(観察研究は多い)。
ってことで、今回は「エナジードリンクはどこまで悪いのか?」に関する実験(1)の話。天下のメイヨークリニックが行なった研究で、「健康な人がエナジードリンクを飲んだら心臓はどうなるの?」って問題について調べてくれております。
なんせエナジードリンクは、砂糖とカフェインのかたまりみたいな飲料なんで、そりゃあ心臓にも悪かろうと思われるわけです。そこらへんをチェックしたわけですね。
エナジードリンクと偽ドリンクの違いをみてみた
実験の参加者は25人の健康な男女で、年齢は26〜31才。全体を2つのグループに分けております。
- エナジードリンクグループ:1日に480mlのロックスター(アメリカで定番のエナジードリンク)を飲む
- プラシーボグループ:1日に480mlの偽エナジードリンク(味は同じだけど刺激物が入ってない)を飲む
ロックスターには240mgのカフェインが入っていて、あとの成分はタウリンが2000mg、朝鮮ニンジン、ミルクシスル、ガラナなど。もちろん、みんな一切のエナジードリンクやコーヒー、アルコールなどは絶った状態で実験に挑んでおります。
実験デザインはクロスオーバーで、簡単に言えば、最初の週はエナジードリンクを飲んだグループが、次の週はプラシーボドリンクを飲むようなイメージ。全員に本物のエナジードリンクと偽物を飲んでもらって、その違いを確かめてみたわけですな。
エナジードリンクが効くのはストレスホルモンのおかげだよ!
さて、そこでどんな違いが出たかと言いますと、以下のような感じです。
発見1.とりあえずエナジードリンクで血圧は上がる
エナジードリンクを飲んだグループは、その直後から、
- 最高血圧が6.2%アップ
- 最低血圧が6.8%アップ
したんだそうな。いっぽうで偽物を飲んだグループは平均3.1%の上昇率だったそうで、結構な差が出ましたな。
発見2.エナジードリンクでノルアドレナリンも出る
ノルアドレナリンは、セロトニンとかと同じ神経伝達物質のひとつ。「やる気」とか「意欲」を引き出す物質なんですけど、いっぽうでは「不安」や「焦り」も生み出す諸刃の剣であります。
基本的にはストレスに反応して出る物質なんで、ノルアドレナリンが上がると心疾患のリスクも上がることが分かってたり。人類の危機を救ってきた大事な物質なんですけど、日常的にガンガン上げるようなもんでもないです。
で、予想どおり、エナジードリンクでノルアドレナリンも上昇しておりました。具体的には、
- エナジードリンク=73.6%
- 偽物=30.9%
って感じ。偽物でもノルアドレナリンが上がってるのがおもしろいですねー。思い込みでもかなり神経伝達物質は出るってことでしょうな。
まとめ
そんなわけで、エナジードリンクを飲むと、急激に血圧とノルアドレナリンの上昇が起こるみたい。これが積み重なっていけば、確かに心臓病につながっていく可能性はありそうっすね。
もっとも、この実験は参加者の数が少ないんで検定力が足りてない可能性も大きいし、エナジードリンクの変化も短期的なもので終わる可能性は否定できず。もっとハッキリした結論が出るのは先の話でしょうな。
といっても、強引にストレスホルモンでテンションを上げさせて、そのあとに何も残らない飲み物を常用する気には慣れないのが正直なところ。どうぞご自愛ください。