結局、風邪に効くものってなんなの?みたいな話をするよ!
風邪が流行ってるみたいなんで、そのへんの話でもしようかと。「ショウガを食え」とか「たまご酒を飲め」とか、とかく風邪の治療ってのはよくわからないことになりがちなんで、現時点での証拠をまとめておくのもよろしいかと思いまして。
いまの科学は風対策についてどこまでわかっているのか?
1.亜鉛サプリは風邪に効く
これについては、以前にも「しつこい風邪とアレルギーは「亜鉛トローチ」で治す時代」に書いたとおり。海外では昔から亜鉛入りのトローチが風邪対策に使われてきたんですけど、実際にいい感じのデータがかなり多いんですよ。
それもひとつの論文だけじゃなくて、複数のメタ分析で結果が出てるのがかなりナイス。2011年に出た別の系統的レビュー(1)でも、1日75mgより多く飲むと風邪の期間を20%も減らせるよーって結論になってていいですねー。これはかなりクリアな証拠があると言っていいんじゃないでしょうか。
2.加湿器が効くかどうかはよくわからん
風邪のときは部屋を加湿しよう!みたいなアドバイスがよくあるわけです。乾燥状態だと菌が繁殖してよくないって考え方ですな。
この問題についてはコクラン共同計画がレビュー(2)を出してて、6つの実験から387人分のデータをまとめて大きな結論を出しております。その結果がどうだったかというと、
- もしかしたら蒸気を吸い込むのが風邪に効く可能性はなくもない
- しかし、他の実験では蒸気の吸入や部屋の加湿も無意味との結論が出ている
といった感じでよくわかんなかったんですな。ただし、いまのところは加湿器が風邪にいいという証拠はないと思っといたほうがよさげ。
3.「うがい」は効きそうだがデータ不足
日本でも風邪の予防として定番の「うがい」。こちらは2005年に387人を対象にした割と大きめの実験(3)が行われてたりします。
その結果はかなりはっきりしていて、シンプルに水でうがいをするだけでも40%ほど風邪の発症率が下がった、とのこと。ただし、ここまでメジャーな手法の割りには実験がひとつしかないんで、今後の研究でどうなるかは不明。
4.風邪の予防には運動がかなり効く感じ
いかにも「運動」は風邪に強い体を作ってくれそうなイメージですけど、実際に良い感じのデータ(4)も出ております。こちらは281人分のデータをまとめたメタ分析になっていて、信頼度はそこそこ高め。
で、結論はハッキリしていて、定期的に「中程度の有酸素運動」をしてると風邪を引かなくなるのは間違いなさげ。これは、だいたい早歩きからジョギングぐらいの運動負荷だとお考えください。ただし、これはメタ分析としては小規模なんで、もうちょい研究例が必要かも。
5.結局、手洗いが最強説
いまんとこ、亜鉛トローチを上回るレベルで証拠が出てるのは唯一「手洗い」ではないかと思われます。
たとえば、2011年にコクラン共同計画が大規模なメタ分析(5)をやってまして、67件のデータをもとに結論を出してたりとか。これはサンプルの量も実験のしつもなかなか高くて、非常に信頼がおける内容ですね。
その結論は、
手洗いはシンプルでコストもかからず、風邪ウイルスの感染を防げる手段だ。
っことで、結局は「手洗い最強」という非常に普通の結論になってしまいました(笑)
まとめ
そんなわけで、いろいろ書いてきましたが、普段は手洗いをマメにして予防を行いつつ、いざ症状が起きたら亜鉛トローチをなめるのが風対策の最適解だろうと思われます。幸いにも私はここ数年デカい風邪は引いてませんが、いちおう亜鉛トローチは常備しております。
ちなみに、ほかにも過去に当ブログで紹介した話では、ビタミンCは風邪に効かないよーって結論も出てますんで、合わせてご参照いただければ幸いです。