日本の死因第2位の「心疾患」はパレオダイエットで防げるのか問題
地中海式もいいけどパレオもね
日本人の死因の2位といえば心疾患。心臓に何らかの障害が起きて、急に倒れたり突然死にいたったりする怖い状態ですな。
いまんとこ、心疾患を予防するには運動がベストで、食事法だと地中海式ダイエットがセカンドベスト。どちらも検証データが多いんで、これをやっとくのが基本になりましょう。
ただし、ここ数年はパレオダイエットもいい感じにまくってきてまして、「心疾患の予防にもいいんじゃない?」ってデータが増えてたりします。そんなわけで、ここではそこらへんの話をダラダラとまとめとこうかと。パレオダイエットのモチベーション維持などにお使いください。
パレオダイエットはどこまで心疾患に効くのか?総まとめ
1.パレオダイエット vs. バランス食
最初はメタボの男女32人を対象にしたパイロットスタディ(1)。ここではパレオダイエットとオランダ健康委員会による食事ガイドライン(一般的なバランス食)を比べてまして、血圧などを調べております。その結果は、
- パレオダイエットのほうが……
- 最高血圧が低下 (-9.1 mmHg)
- 最低血圧も低下 (-5.2 mmHg)
- 総コレステロールも低下 (-0.52 mmol/L)
- 中性脂肪も低下 (-0.89 mmol/L)
って感じで、オランダ政府が決めた健康食より成果が出たらしい。あくまでパイロットスタディだけど、これはいい結果ですねー。
2.太ってなくてもパレオダイエットで成果は出るか?
上の実験ではメタボな参加者を対象にしてましたが、2015年のカリフォルニア大学論文(2)は、普通の体型をした健康な男女を採用しております。
全員に10日ほどパレオダイエット(赤身肉、野菜、フルーツ、ナッツがメイン)を続けてもらったら、総コレステロール、悪玉コレステロール、中性脂肪などが改善し、さらには、
- 糖質の代謝
- 脂質の代謝
もガッツリと向上したそうな。こちらも小規模な実験なんでアレですが、一応の参考として。
3.パレオダイエットvs.糖尿病食
さらに、2009年のランド大学実験(3)では、糖尿病の患者さんを対象にパレオダイエットの効果を確かめております。こちらの実験では、赤身肉、魚、フルーツ、野菜、根菜、卵、ナッツがメイン。
実験期間は3ヶ月で、定番の糖尿病食との効果を比べたところ、
- HbA1cが低下(-0.4%)
- 中性脂肪が0.4 mmol/L低下
- 最高血圧が4 mmHg低下
- 体重が3kg減
- BMIが1ポイント低下
- 腹回りが4cm減少
って感じでより大きな成果が得られた模様。これまた小規模なのが残念ながら、心疾患リスクの低下ぶりはなかなかすっね。
4.パレオダイエットは高コレステロールな人に効くか?
もう一個は2015年に東ミシガン大学が行なった研究(4)で、高コレステロールな人20人を対象にしております。こちらはアメリカ心臓協会がすすめる食事法と比較してまして、実験期間は4ヶ月。
で、結果はパレオダイエットがやや優勢で、
- 総コレステロール
- 悪玉コレステロール
- 中性脂肪
などがアメリカ心臓協会の食事法よりも減り、逆に善玉コレステロールと体重は改善したとのこと。
まとめ
ってことで、全体的には「サンプル数が少ない!」って問題はありつつも、かなーり良い成績を出してるんじゃないかと思われます。また、いずれの実験も食事の改善だけでこれだけの成果が出てるんで、「パレオダイエットの教科書」に書いたとおり、運動と睡眠も組み合わせればもっと予防効果はデカいだろう、と。
まぁいまの段階で「心臓病の予防には何がいいですか?」と聞かれれば地中海式ダイエットをおすすめするでしょうが(笑)、今後の可能性にかけたい人はパレオダイエットもどーぞってことで。