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9時間ダイエットが「壊れた糖代謝」を改善してくれるかもよ!というクロスオーバー試験の話

 

プチ断食にはいろんなメリットがありそうだよー」みたいな話を過去に書きましたが、新たに「糖尿病にも使えるぞ!」ってデータ(R)が出てたんでご紹介しときます。

これはアデレード大学の研究で、「5年のうちに糖尿病にかかるリスクが高いぞ!」と診断された男性15人を対象にしております。年齢層は30〜70歳までで、1週間ずつ以下のような食事法をしたんだそうな。

  1. 早い時間に食べるタイプのプチ断食(8 a.m. 〜 5 p.m.までの9時間は好きなように食べて、残りの時間は何も食べない)
  2. 遅い時間に食べるタイプのプチ断食(12p.m.〜 9 p.m.までの9時間は好きなように食べて、残りの時間は何も食べない)

 

参加者には「食事以外は普段どおりの生活を続けてくださいねー」と指示をしまして、プチ断食のタイミングを守る以外は何も変えなかったとのこと。実験はクロスオーバー形式なので、全員が異なる食事パターンを1回ずつ実践しております。

 

 

この実験で食事のタイミングを「早い時間」と「遅い時間」の2つに分けたのは、「体内時計のリズムによってプチ断食の効果が変わるんじゃないの?」って仮説を立てたからです。人の体内リズムは遺伝によって微妙に変わりますけど、すごーくざっくりした傾向をまとめると、

 

  • 6 a.m.からストレスホルモンが増え始める
  • 9 a.m. にテストステロンが増える
  • 10 a.m.に注意力がピークを迎える
  • 5 p.m.に心肺機能がMAXになる
  • 7 p.m.に体温と血圧がMAXになる
  • 9 p.m. からメラトニンが増え始める

 

 

みたいな感じになってまして、こういった体内の変化がプチ断食にも影響するんじゃないの?と考えたわけっすね。

 

 

また、何も食べちゃいけない時間帯に許されたのは、

 

  • 1杯4kcal以下の低カロリードリンクを2杯まで

 

だったそうです。さらに、全員に活動量計をわたして「どれぐらい体を動かしたか?」ってとこを調べつつ、血糖値などの反応がどうなったかをチェックしております。

 

 

で、どういう結果になったかと言いますと、

 

  • 時間帯に関わらず、どちらのプチ断食法でも血糖値の反応が36%改善していた
  • どちらのプチ断食でもインスリン反応とGLP-1が改善していた (p=0.09)
  • どっちのプチ断食も体重の減り方はほぼ同じだった(-0.8kg〜-1.3kg)

 

みたいな感じ。この結果を見ると、プチ断食は血糖値の改善になかなか有効な気がしてきますねぇ。

 

 

ただしここらへんはまだ判断が難しくて、

 

  • 肥満に悩む23人に8時間ダイエットを12週間ほどしてもらったら、体重はバッチリ減ったもののの空腹時血糖値やHOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)は改善しなかった(R)

 

なんて結果も出てたりするんですよね。さらに別の研究(R)では、プチ断食でインスリン感受性は良くなったけど、血糖値は特に改善しなかったよーなんて報告もありまして、どうにもデータによって食い違いが激しい感じではあります。

 

 

さらに別の先行研究(R)などを見ると、「長く同じ食事パターンを続けてると体の代謝が適応してくよー」って結論なんで、そこらへんが影響してるのかなー、という気もしてはおります。いずれにせよ、もうちょい様子見っすね。

 

 

 まぁ全体的に見ればプチ断食で痩せるのは確実ですし、減量が血糖値に良い影響を与えるのも間違いないので、糖代謝にお悩みの方は試すのも良いのでは無いかと思う次第です。どうぞよしなに。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。