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今週の小ネタ:脳が劣化する最大の原因、HIITがはかどる音楽、人間が恐怖を感じる生き物

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。



脳が劣化する最大の原因とは?
食事とエクササイズが大事なのは当たり前ですが、新たに「ファストフードと運動不足こそ脳が縮む最大の原因だ!」って論文(R)が出ておりました。



これはオーストラリア国立大学の研究で、過去の脳研究から200件の論文をまとめたレビュー論文になっております。研究者いわく、

多くの人はファストフードと運動不足で脳を蝕まれている。今回の研究で明確なエビデンスが出たのは、不健康な食事と運動不足が長く続くと、糖尿病はもちろん、痴呆症や脳サイズの縮小といった深刻なリスクをもたらすという事実だ。

とのこと。なんでも50年代にくらべて、現代人は1日の必要カロリーを650kcalを超える量をファストフードから摂取しており、エネルギー過多と栄養不足で脳が縮んでいるんだそうな。


なかでも悪影響がデカいのは「砂糖」で、脳の神経を劣化させるのに一役買ってるとのこと。

糖尿病で脳機能が低下することについては、すでに豊富なデータがそろっている。

さらに、今回の研究で浮かび上がったのは神経変性の問題だ。不健康なライフスタイルを続けると、かなりのスピードで脳が劣化している。

いったん脳が受けたダメージは、中年期になってからは元に戻すことができない。そのため、私たちはできるだけ早い時期に健康的なライフスタイルを確立しなければならない。

ってことで、中年にはかなりツラい結論が出ておりますが、とりあえず高齢になった後も、それ以上の脳の劣化を食い止めるためにライフスタイルの改善をしとくのが良いかと。



HIITがはかどる音楽とは?

次はブリティッシュコロンビア大学の論文(R)で、まず結論から言っちゃうと、

  • テンポがいい音楽を聴くと運動がはかどる!

みたいな感じです。「うん、知ってた!」みたいな結論ですが、こういった常識をいちいち確かめるのも科学の役割ってことで。


具体的には24人の男女を対象にした実験で、みんなにHIITを指示したんですが、その際に、

  1. ハイテンポの音楽
  2. トーク系のポッドキャスト
  3. 無音

の3パターンで運動をさせたところ、案の定ハイテンポの音楽がもっとも運動効率が高かったらしい。


研究チームいわく、

通常、音楽は解離戦略として使われる。音楽を聴くと私たちの注意は身体反応から遠ざかり、心拍数や筋肉痛に注意が向かなくなる。

特に身体的なツラさが大きいHIITのような運動をする際には、音楽はもっとも効果的な戦略となるだろう。

ってことなんで、HIITのように精神的にキツい運動をする際はテンポが速い音楽をどーぞ。



人間が恐怖を感じる生き物はどれだ?選手権

こちらはチャールズ大学の論文(R)で、「みんなが苦手な生き物はどれだ選手権!」みたいな内容になっております。だいたい2000人の男女を対象にした研究で、みんなに蛇や芋虫といった生物の写真を25パターンほど見てもらいまして、

  • どれがもっとも怖いですか?
  • どれがもっとも嫌悪感がありますか?

と尋ねたんだそうな。なんでこんな研究をしたかと言いますと、「人間の恐怖感は進化に裏付けられてるはずだ!」って仮説を確かめるためであります。


ざっくり言えば、私たちの恐怖感や嫌悪感は「人類の生存を脅かすものを遠ざける」ために進化したはずなんで、

  • 個体を傷つけそうなものは恐怖心が生まれるはず
  • 伝染病などを拡散しそうなものには嫌悪感が生まれるはず

と考えられるわけなんですな。人間の感覚も進化の産物なんで、当然「恐怖と嫌悪」が生まれたのにも理由があるのだろう、と。


で、結果は予想どおりで、以下の画像みたいになりました。縦軸が「嫌悪感」で横軸が「恐怖感」になっております。


ってことで、クモ、毒ヘビ、サナダムシが上位にランクしてて、「そりゃそうでしょうな!」みたいな結論っすね。


ちなみに、この研究では「過去に動物にヒドい目にあったことはありますか?」という質問もしたんですが、

  • 過去に犬に噛まれたり猫に引っかかれた経験がある人ほど恐怖感が少ない!

みたいな傾向も確認されてたりします。うーん、なんででしょうねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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