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将来の収入は子供時代の"あれ"で決まるぞ!という観察研究のお話

 

将来の収入を予測できる要素ってなんなの?」ってのは割と定番の研究テーマで、これまでもいろいろなポイントが指摘されてまいりました。たとえば、

 

 

といったあたりが有名どころ。まだハッキリした結論は出ていないながらも、まぁ知性と勤勉さは重要なんじゃない?って点で一致してるデータは多い印象っすね。

 

 

新しいデータ(R)もこの流れに連なるもので、まず結論から言っちゃうと、

 

  • 未来の収入を左右するのは注意力である!

 

みたいな内容になってます。「情報量が激増する社会では、人間の注意力こそがもっとも重要な資産になる」と大昔に指摘したのはハーバート・サイモン先生ですが、ここでも似たような傾向が確認されたわけっすな。

これはモントリオール大学などの研究で、1985年からカナダでやってる大規模調査のデータを使ってます。5~6歳の児童を2850人ほど集めて、

 

  • 注意力=どれぐらい集中して行動できるか?
  • 過剰活動=いっつもソワソワしてたり、いっつも動いてたりしないか?
  • 身体的攻撃性=他の子供をいじめたりしないか?すぐケンカをしたりしないか?
  • 反抗性=先生の指示にどれぐらい従うか?自分の失敗を他人のせいにしないか?
  • 不安レベル=すぐ不安になったりしないか?すぐに泣いたりしないか?
  • 社交性=他の子供とすぐ仲良くなれるか?他人を助けることができるか?

 

といったポイントを先生に評価してもらってスコア化。そこから子供たちが30代になった頃に再び連絡を取って、収入がどうなったかを調べたんですよ。似たような研究は過去にもあったんですけど、今回のはだいぶ洗練された調査法になってて良い感じです。

 

 

で、その結論について研究者いわく、

 

多くの要素の中で、注意散漫がもっとも未来の年収と結びついていた。幼児期に注意散漫だった者は、高校での成績も悪く、大学のレベルも低かった。いずれも年収に結びつきやすい要素だ。

 

とのこと。さらに具体的な数値については、

 

注意散漫のレベルが全体の上位15%に入るものは、年間で平均約33万円ほど収入が低い

 

だったそうです。この傾向はIQと家庭環境を調整しても残ったそうで、なかなか怖いもんですな。

 

 

逆にもっとも収入が高いのは「社交性が高い子供」だったそうで、これは納得の結果ですね。子供時代に社交性が高かった子供は、大人になっても他人のために働くので年収が高くなりやすいらしい。「ギブ・アンド・テイク」の教えがここでも確認されましたね。

 

(注意散漫のトップ15%と社交性のトップ15%を比べた場合)、25年のキャリアにおける収入の格差は約830万に達する。

 

だそうで、これまたなかなかの開きになるみたいっすね。ちなみに、男性の場合はほかにも年収に影響する要素がありまして、

 

  • 6歳の時点で攻撃性または反抗性が確認された場合は、成人後の年収も低くなる

 

みたいになってます。こちらについては研究者いわく、

 

攻撃性と反抗性が強い子供たちは、仲間からうとまれる存在になってしまう。クラスの和を乱し、大人の指示にも従わないからだ。

 

逆もまた然りで、社交性が高い子供たちは、よりよい人間関係を築き、これがソーシャルキャピタルの増加につながる。結果、稼ぎの良い仕事にもつきやすくなる。

 

ってことで結局は人間関係が年収に響くんだろうって推測になってました。まぁありえそうっすよね。

 

 

ちなみに私の場合は、集中力がある時とない時の落差が激しい子供でして、考え事に没頭しすぎたせいで周りから「先生!鈴木くんがまた動かなくなりました!」とか注進されることがしばしばでありました。こういう子供の場合はどう判断すりゃいいんでしょうな。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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