本を読むとどれだけ年収は上がるのか?問題
家庭に置いてあった本の量と収入の関係
「読書で年収があがる!」っていう本好きにうれしいデータ(1)があったのでメモ。
これはパドヴァ大学の研究で、フランス、ドイツ、イタリアなど全9カ国から5,280人の男性のデータを集めたもの。1920〜1956年のあいだに生まれた人を対象に、「家庭に置いてあった本の量と収入」の関係をくらべたそうな。具体的には参加者が10才の時点で、
- 家の本が10冊以下だった
- 家に100冊未満の本があった
- 家に200冊未満の本があった
- 家に位200冊以上の本があった
といった段階にわけて、成人してからの年収との相関を調べたんですね。
家の蔵書によって将来の年収は大きく変わる
それで何がわかったかといえば、
- 子供のころに、学校以外で最低10冊の本を読んだ人は、なにも本を読まなかった人にくらべて将来の年収が21%アップする!
って感じです。いやー、思ったより大きな差が出ましたね。
さらに細かいことをいうと、
- 両親がホワイトカラー職かどうかは子供の将来の年収に影響しない
- 都会よりも田舎住まいのほうが読書のメリットが大きい
- 家に本がたくさんあった人は肉体労働にはつきにくい
なんて結果も出てたりしておもしろいんですが、個人的にもっとも興味深かったのは、
- 家に置いてある本の量は年収には影響しない!
ってとこですね。家に50冊あろうが200冊あろうが年収の上がり幅は同じで、とにかく最低10冊の本があればいいらしい。こと収入については、たくさん読めばいいってわけでもないんですかねぇ。
とりあえず読書は成功の指標になりえる
研究者いわく、
本がある家庭に育った子供は、人生と世界についてより多く学び、新しい体験をする機会を得られる。もしくは、本があるような家庭は、より文化的で経済的にも裕福であるケースが多いからなのかもしれない。
とのこと。観察研究なので「本を読むと年収があがる」のか「高収入を稼ぐような能力を持つ人は本が好きなだけ」なのかはわからないものの、読書量が成功のインジケータになりうる可能性は高そう。
読めば読むほど頭はよくなる可能性が高い
ちなみに、2010年にネバダ大学が 73,249人を調べた研究(2)では「本を読んだ子供は頭が良くなる」って結論が出てまして、
- 家に本が多い子供の成績は、本がない家にくらべて大学に進む確率が20%上がる
- 家に25冊以上の本がある子供の成績は、本がない家にくらべて2年分ほど教育レベルがあがる
みたいな感じ。こちらでは、上と違って「本を読めば読むほどいい!」って傾向が出てますね。まぁ「収入アップ」については「頭の良さより性格のほうが大事」って話なんで、そこまで本の影響は少ないのかもしれませんが。
相関の大きいは違うにせよ、読書が知性&収入と結びついてるのは間違いなさげなので、本好きのみなさまにおかれましては今後もそのまま読書をたしなまれていただければと存じます。