プロバイオティクスで炎症性腸疾患の症状はやわらぐのか?問題
炎症性腸疾患とプロバイオティクス
「炎症性腸疾患にプロバイオティクスは効くか?」ってメタ分析(1)がいい感じだったのでご紹介。
炎症性腸疾患(IBD)っては包括的な用語で、おもにクローン病や潰瘍性大腸炎のことを指しております。どっちも消化管に炎症が起きまくる自己免疫疾患のひとつ。どっちも治療法が確率されてない難病で、いったん発症すると激しい痛みと腹痛に襲われて毎日が大変なわけです。
で、昔から「プロバイオティクスが効くんじゃない?」とは言われてたんですね。免疫系の暴走によって起きる病気なので、ちゃんと腸をいたわってやるのが大事なのではないか、と。
もっとも、これまで試験の結果はバラバラでして、本当に効果が出るのかはわりと謎だったんですが、よううやく大規模なメタ分析が出たおかげで正確な判断がつきそうな感じ。
潰瘍性大腸炎には効くがクローン病には無力
これはリーズ大学の研究で、過去に出た1万件以上のデータから制度が高い22件を選んで精査したもの。16才以上のIBD患者さんを対象にしたデータがメインで、プラシーボまたは5-ASA(IBD治療の標準薬)との効果をくらべたんですね。
で、どんな結論が感じだったかと言いますと、
- 潰瘍性大腸炎の場合;プロバイオティクスは、プラシーボより10%ほど症状を緩和する、5-ASAにくらべると6.2%劣る。再発の予防については、プラシーボより25%ほど効果があり、5-ASAより0.5%良い。
- クローン病:プロバイオティクスは、プラシーボより1.7%ほど症状を緩和する、5-ASAとの比較はなし。再発の予防については、プラシーボより0.6%ほどの効果。こちらも5-ASAとの比較はなし
って感じです。ということで、潰瘍性大腸炎についてはプロバイオティクスは結構いい成績で、クローン病についてはほぼ無力ってことみたいっすね。
潰瘍性大腸炎に試すならVSLしかない
まー、この結果を見ると「プロバイオティクスを導入すべきか?」って疑問についてはなんとも言い難いんですけど、潰瘍性大腸炎にお悩みの方が5-ASAと併用するのは十分にありじゃないかと。
あとは「どんなプロバイオティクスがいいの?」ってとこが気になりますが、こちらは「VSL#3」一択です。というのも、ほかのプロバイオティクスを使った場合にくらべて、VSL#3をつかったデータのほうが明らかに成績がいいんですよ。
VSL#3ってのは現時点でもっとも実験データが多いプロバイオティクスのひとつで、「IBSに効く」とか「超高脂肪食のダメージを防ぐ」などと言われております。昔は日本のAmazonとかで買えたんですが現在は入手困難なので、個人輸入業者を探すしかない感じです。お悩みの方はお試しください。