惜しみなく与える者ほど成功する!ーアダム・グラント「ギブ・アンド・テイク」
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人間にはギバー・テイカー・マッチャー3つのタイプ がある
アダム・グラントはペンシルベニア大学ウォートン校の有名な組織心理学者で、「人に与える者こそがもっとも成功する!」と主張する本になっております。ウォートン流の心理学で「五月病」なんてふっとばせ! « クーリエ・ジャポンの現場から(編集部ブログ)
組織心理学者 ...
筆者が本書で提唱する人間のタイプは以下の3つ。
- ギバー:自分が得る利益よりも多くを与えようとするタイプ
- テイカー:自分が与えた量よりも多く利益を得ようとするタイプ
- マッチャー:自分の利益と相手の利益を同じにしようとするタイプ
といっても、この性質は固定したものではなく、多くの人は状況によって上の3つのタイプを使いわけており、普通は肉親や友人に対してはギバーとして行動し、仕事場ではテイカーやマッチャーとしてふるまうケースが多いとか。
ギバーは大成功か大失敗かのどちらかに偏る
では、上の3つタイプのなかで、もっとも仕事で失敗しやすい性質はどれか? 著者が10年にわたって調べたところ、もっとも仕事に失敗しやすいのはなんとギバーでした!ドーン!……なんだよ!じゃあオレは人に与えるのやめるよ!って結論になりそうですが、この話にはまだ続きがありまして。実は、一方でもっとも仕事で成功しやすいのもギバーだったんですな。で、テイカーとマッチャーは、つねにギバーの間にランクされるんだとか。
ギバーが大成功する理由は簡単。短期的にはテイカーが利益を稼げるものの、テイカーが勝つと必ず負ける者が出てしまうのに対し、ギバーが利益を得ると周囲の人間にも良い影響が広がっていくからであります。周囲の人たちと長期的な良い関係が築けることで、最終的にはギバーが勝利を収めるわけですな。
大成功するギバーの資質とは?
じゃあ、大失敗するギバーはどこが悪いのかというと、自己犠牲の精神が強いギバーは惜しみなくすべてを与えようとしすぎるため、周囲にダマされやすくなり、結果として自らも燃え尽きてしまうケースが多いからだそうな。実際、犯罪の被害にあいやすいのもこのタイプのギバーらしい。
つまり、成功するギバーとは、他人に与えるのを喜びとしつつも、自分の目的や成長意識をしっかりと持っているタイプ。自分のなかの軸をベースにして、「誰を助けるか?」を決めていくから燃え尽きないんですな。
そんなわけで、勝間和代氏とかがよく言ってる「Giveの5乗」が科学的にも証明された!という感じの一冊でして、ビジネス書やポップ心理学をよく読む人には特にオススメ。 取り上げられるエピソードも、「シンプソンズ」を手がけたギャグライターの話や、「デトロイト・ロック・シティ」のアダム・リフキン監督とか、類書では見たことがないものばかりで楽しめました。
唯一の難点としては、著者が組織心理学の人なので「個人が成功するギバーになるにはどうすればいいか?」という点に関しては記述がイマイチ。なので、具体的にギバー的なマインドを育てる方法を知りたい方は、デイビッド・ハミルトン「「親切」は驚くほど体にいい!」の巻末にある「誰でもできる親切習慣リスト」を参照すればよろしいかと存じます。