毎日の幸せを増やしたいないら「ポップコーンをお箸で食べよう!」みたいな研究の話
どんなに好きなことでも回を重ねれば飽きるもの。大好きな映画も100回見れば「もういい!」って気分になるでしょうし、どんなに美味いものでも毎日食ってたら嫌になりますからねぇ。
これは「快楽の踏み車」などと呼ばれる現象で、どんな幸せでもすぐに慣れてしまうってことですな。まぁいつまでも同じものから幸福を得られていたら進歩もないので、これは人間にとって非常に大事な心の仕組みだったりするわけです。
とはいえ、どうせなら同じことに幸福を感じられればいいよなーと思うのが人情。欲望がエスカレートするままに任せていたら、人生は無間地獄になっちゃいますからね。
ってことでオハイオ州立大学などの研究チームが、「慣れによる幸福度の低下を防ぐ方法はこれだ!」みたいなデータ(R)を出していて参考になりました。まずは本論の結論から言っちゃいますと、
- ポップコーンを箸で食え!
みたいになります。なんのこっちゃわからないと思いますので、具体的な実験デザインを見てみるとこんな感じです。
実験1 ポップコーンの幸福低下を防ぐ
-
68人の男女を集めて、そのうち半分にはポップコーンを手で食べてもらい、残りの半分にはお箸でポップコーンを食べるように指示する
-
その後、どれぐらいポップコーンがおいしかったかを尋ねる
まず最初の実験では、参加者に2つの方法でポップコーンを食べてもらったところ、お箸を使ったグループの方が「ポップコーンが美味い!」「お箸で食べた方が楽しい!」と答える傾向があったんだそうな。
実験2 水分摂取の幸福低下を防ぐ
-
300人の男女をオンラインで集めて、みんなに「なるべく斬新な方法で水を飲んでみてください!」と指示
-
その後、どれぐらい水分摂取を楽しめたかを評価してもらう
参加者が考案した水の飲み方はいろいろで、猫みたいに皿の水をなめる人がいれば、封筒に水を入れて漏れる前に飲み干す人もいたとのこと。その結果、普段とは違う飲み方を試みた参加者ほど、「いつもより水が美味い!」と報告したんだそうな
実験3 動画視聴の幸福低下を防ぐ
-
参加者にバイクが走る動画を2回見せて、内容のおもしろさを評価してもらう
-
その後、3分の1の参加者には両手の人差し指と親指でOKサインを作りその穴から動画を見るように指示し、別の3分の1は動画を逆さまにした状態で、残る3分の1は普通に動画を視聴してもらう
- 最終的にどのパターンがもっとも動画を楽しめたかをチェックする
結果、もっとも動画を楽しめたのは手でメガネを作ったグループで、その映像をダウンロードする傾向も大きかったらしい。一方で「逆さの動画」を見たグループは、見づらさのせいでイライラが募り、逆に楽しさは低下しちゃったとのこと。
ってことで以上のデータから得られる教訓としましては、
- 些細な新しさを導入すれば、どんな平凡な体験でも楽しさが戻る!
ってことですね。飲み方を変えるだけで水がうまくなるんだから、この世のあらゆる体験は、少しの工夫で息を吹き返すんだと考えられましょう。必要なのはほんのちょっとのクリエイティブだった
まぁだからといって見慣れた映画を手メガネで鑑賞しようとは思いませんが、VRのシアターアプリを使ったり、人物相関図を作りながら見直したり、原作との違いをピックアップしながら見たりすれば、確かにまた別の感動が得られそうな気はしますね。その意味で、日々の幸福度アップに使いやすい良い研究じゃないでしょうか。