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ネガティブな感情や思考に負けない心を育てる「アイスキューブ・チャレンジ」とは?

  

セルフコンパッション」で有名なクリスティン・ネフ先生が、「アイスキューブ・チャレンジ」(R)っていうおもしろいトレーニング法を推奨してたんで、ちょっとまとめときます。

 

 

このエクササイズは、マインドフルネスの一要素である「アクセプタンス」を鍛えるのが主目的で、要するに「自分のダメなとことかネガティブな感情をまるっと受け入れようぜ!」みたいな考え方であります。自分のマイナス面を拒否してると、「私はなんてダメな人間なんだ‥…」みたいな気持ちがブーストしちゃうんで、いったん受け入れた方がいいんですよね。合気道的な発想といいますか。

 

 

が、そうはいっても自分のダークサイドに直面するのは誰でも嫌なんで、いったん別のエクササイズを挟んで心構えを作ろうってのがアイスキューブ・チャレンジのポイント。具体的にどんなエクササイズかというと、こんなステップで行います。

 

 

ステップ1:氷を持つ

冷凍庫から氷を1つか2つの取り出して、手のひらに持ちます。そのままそっと手を握り、3分間ほど氷をホールドしましょう。

 

 

ステップ2:非アクセプタンスな思考に気づく

だいたい1分もすると「痛っ!」とか「こんなの無意味だ!」とか「もうダメだ!」みたいな考えが浮かび上がってくると思いますんで、まずはその思考の存在に気づいてみてください。

 

当然ながら、このような思考は「氷の痛みを取り除きたい!」って願望を反映してるわけですが、同時に以下のような特徴も持っております。

 

  • その思考は、いまの瞬間に心の中に浮かんでいる単なる思考である
  • これらの思考にもとづいて、自分が行動する必要はない
  • これらの思考をどう処理するかは自分次第である

 

氷を持ったら手放したくなるのは当たり前のようですが、実際には、その思考をそのままにして何の行動もしないって選択もあるわけです。とりあえず、このステップでは「必ずしも思考に反応して氷を手放す必要はないんだなー」ってとこがわかればOKであります。

 

 

ステップ3:身体の非アクセプタンスな感覚に気づく

続いて、脳内に浮かんだ思考はいったん置いといて、氷がもたらす身体的な感覚のほうに意識を向けていきます。例えば、

 

  • 「うーん、シンプルに冷たいな……」
  • 「手の平の中央あたりがジンジンするな……」
  • 「どんどん感覚がなくなってきたな‥…」

 

みたいな感じです。「もうこんな痛いのは嫌だ!」とか自分の体に何が起こっているかをジャッジせずに、ひたすら身体が味わってる感覚を見つめてみるといい感じです。
 

 

 

ステップ4:感情の非アクセプタンスに気づく

さらに氷を持ち続けつつ、恐怖やイライラ、不安などのネガティブな感情が自分の内面に出てきてないかをチェック。このステップでも、いままでと同じようにネガティブな感情を単なる衝動や情動の動きとして観察してみましょう。

 

 

ステップ5:氷を解放する

ようやく氷を手放して、手を温めます。

 

 

ステップ6:評価

最後に、このエクササイズで何に気づいたかを考えてみて終了です。以下のポイントについて自問してみてください。

 

  • どんな思考が自分の中に浮かんできたか?
  • 自分のなかに浮かぶ抵抗感に気づくことはできか? もし気づけた場合は、どのような抵抗があっただろうか?
  • どのように抵抗に対処しただろうか?
  • 抵抗を受け入れたまま氷を握り続けることは可能だったろうか?
  • このエクササイズから何を学んだろうか?

 

 

ってことで「アイスキューブ・チャレンジ」の手順は以上です。私もさっそく試してみましたが、氷を握る直前は結構な不安に襲われますね。実際に氷を握ってみると意識が完全に氷のほうに向かうんで、あとは身体感覚をいかに受け入れるかの戦いになりましたが。いやー、氷を3分握るのって大変なんですね(笑)

 

 

にしても、実際に試してみると、氷を握るってのは身体感覚に意識が向かいやすいぶんだけ、アクセプタンスを鍛える方法としては非常にいいのかなーと思いましたね。ネガティブな感情とか思考に立ち向かうよりも、身体感覚のほうがまだ処理しやすい印象なんで。

 

 

そんなわけで、「どうにも自分のネガティブな感情や思考にふりまわされるなー」って問題にお悩みの方は、いったん「アイスキューブ・チャレンジ」を試してアクセプタンスの感覚をつかんでみてはいかがかと思った次第です。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。