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今週末の小ネタ:結婚は幸せか問題、謙虚と客観性、脳のダメージを戻すかもしれないホルモン

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

結婚は幸せか問題リターンズ

「結婚は本当に幸せへの道なのか?」って問題にはまだ諸説あって、「結婚は良い!」って話から「現代ではそうでもない!」みたいな見解までいろんな主張があるわけです。

 

 

で、最近出たデータ(R)は、あらためてこの問題に取り組んでくれていて、ちょっとおもしろい結論になっておりました。

 

 

これはミシガン州立大学などの研究で、チームの問題意識はこんな感じです。

 

世の中には、人間は結婚しないと幸せになれないと思っている人が多い。そこで、以下のような問題に取り組んでみることにした。

 

  • 人間は幸せになるために誰かをと交際する必要があるのか?
  • 一生独身で生きている人は本当に不幸になのか?
  • 結婚していてもうまくいかなかった人はどこまで不幸なのか? 

 

ってことでチームは、18歳から60歳までの男女7,532人を集めて、みんなの結婚歴をチェック。その上で全体を3つのグループに分けてます。

 

  1. 人生のほとんどを特定の相手と結婚生活を送ってきた人たち(79%)
  2. 人生のほとんどを未婚で過ごしている人たち(8%)
  3. 離婚、再婚、死別などの体験をしたことがある人たち(13%)

 

でもって、続けて全員の幸福感を調べつつ、参加者が高齢になった時点でも「自分の人生をどれだけ幸せに感じているか?」ってところを尋ねたらしい。

 

 

最後にすべてのデータをひっくるめたところ、まず大きな結論は以下のようになりました。

 

結局、結婚に人生の幸せを預けるのは、確実な賭けではないようだ

 

ってことで、どうも結婚と幸福度のあいだには予想されたような相関が見られなかったみたい。さらに具体的なポイントをまとめておくと、

 

  • 結婚している人はちょっとだけ幸福度が高いものの、別に結婚をことさら持ち上げるレベルではない
  • 離婚や死別をした人と生涯未婚の人たちの幸福度はほぼ変わらない

 

って感じになります。研究者いわく、

 

大事なのは結婚よりもマインドセットかもしれない。ひとりの人間として幸せと充実感を見つけることができれば、指にエンゲージリングがあろうがなかろうが問題はない。

 

とのことで、全体的に見れば「やっぱ現代では結婚にメリットって低くなってるのかなー」って印象ですかね。

 

 

 

謙虚な人ほど実は客観性があるのだ!という話

こないだ「一番幸せなのは現実主義者だ!」って話を紹介したところ、新たに「もっとも現実的なのは謙虚な人間だ!」みたいな話(R)が出ておりました。謙虚な人と言うと「私なんかとんでもない!」みたいに自分を実際より下げる人のようなイメージもありますけど、実際にはもっとも現実がよく見えてるのではないか、と。

 

 

この実験では419人の男女を集め、まずはみんなに「自分の強みはなんだと思う?」ってのを尋ねた後、さらにその強みや特技を他の人と比べてどう思うかを評価してもらったそうな。その上で、さらに全員の謙虚さ、自尊心、ナルシシズムなどを測定したところ、

 

  • 「謙虚さ」のスコアが高い人に、自分の強みを過小評価する傾向は見られなかった
  • 「謙虚な人」に特徴的なのは、「自分が持つ強みは、自分を特別な存在にするわけではない」と考える傾向だった

 

だったそうで、つまり「謙虚な人」ってのは自分の強みを正しく認識しているんだけど、そのせいで別に自分を特別視はしない人のことなんだよーって話ですね。

 

 

研究者いわく、

 

言ってみれば、謙虚な人とは、平均的な人よりも自分のポジションを正しく認識できる人のことだ。彼らは自分の強み以外にも多くの欠点を認識しており、他人からの賞賛を求めない。

 

とのことで、「謙虚=客観性」ってポイントを強調しておられました。確かに身の回りを見わたしても、本当に有能な人って謙虚なケースが多い気はしますな。

 

 

 

脳のダメージを戻すかもしれないホルモンとは?

脳のダメージを戻すホルモンが見つかったぞ!」って報告(R)が出ておりました。

 

 

これは東京理科大学などの動物実験でして、アルツハイマーにかかったマウスを対象にしたもの。その結果を一言でまとめてしまうと、

 

  • オキシトシンで脳のアルツハイマーが復旧する‥……かも?

 

みたいになります。「愛情ホルモン」として有名なオキシトシンが脳のダメージをリバースするかもしれないというんですな。

 

 

これがどんなテストだったかと言いますと、

 

  1. マウスの脳をスライスしてアミロイドβにさらす
  2. そこにオキシトシンを加えて脳の記憶に欠かせないシグナルがどうなるかを見る

 

みたいな手順で観察したら、オキシトシンを加えた直後から海馬に機能が向上したというんですよ。

 

 

もちろんこのテストだけだと人間でもご利益が得られるかはわからないんだけど、研究者いわく、

 

近年、オキシトシンは学習と記憶のパフォーマンスの調整に関与することが判明している。

 

ってことでして、ひとつの可能性として知っておくと良いのではないかと思うわけです。オキシトシンを出す方法は簡単で、ペットやパートナーと触れ合うもよし、ぬいぐるみをモフモフするもよし、インスタで子猫の動画を見るもよしなんで、とりあえず普段から意識しておくのもいいんじゃないでしょうか。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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