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脳の改善に役立ちそうなデータいろいろ#2:テストステロン、クルクミン、ビタミンD、オートムギ……etc

 

過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみるシリーズです。今回は「の改善に役立ちそうなデータ」の第2回目ということで、4つの研究を、すごーくざっくりとまとめてお送りしまーす。

 

 

 

 

テストステロンが下がると本当に脳が働くなくなるのか?問題

気分よく暮らしたいならテストステロンの量が大事だよーとよく書いております。こいつが下がっちゃうと元気がなくなるだけでなく、脳の働きにも影響が出てしまうことがわかってまして、私と同年代の皆さまにはお気をつけいただきたいところです。

 

 

で、近ごろ出たメタ分析(R)は、「テストステロンを補充したら認知機能は上がるの?」ってとこを調べてくれてます。具体的には、18,599人が参加した27の研究をまとめたもので、

 

  1. テストステロンが下がると本当に脳の機能は下がるのか?
  2. テストステロン補充療法をすると、認知症は改善するのか?

 

っていう2つのポイントを調べたんですね。その結果をざっくりとまとめちゃうと、

 

  • 総テストステロン値が低い人は、あらゆるタイプの認知症リスクが高い傾向があった(ただし、結果の一貫性はそこまでない)
  • 遊離テストステロンが少ない人は、アルツハイマー病のリスクが高い傾向があった(こちらは結果に一貫性がある)
  • 認知症の人にテストステロンを補充すると、小さいながらも改善が見られた

 

みたいになってます。一部の結果に食い違いがあるのでまだ確定的とは言えない感じながら、「やっぱ脳を健康に保つためにもテストステロンはあげとかないとなー」とか思った次第です。

 

 

 

クルクミンで頭がよくなったりするかも?

クルクミン(ウコンに入ってる成分)のアンチエイジング効果については一定の知見がありまして、とりあえず炎症を抑える効果が高いのは間違いない話。もちろんサプリの使用については注意すべき点もあるものの、注目すべき成分なのは間違いないでしょう。

 

 

ここで取り上げるデータ(R)もクルクミン関連でして、「クルクミンで頭がよくなったりするかも?」って問題を調べた研究です。参加者は50〜85歳の男女80人で、

 

  1. 油とミックスしたクルクミンを1日80mg飲む
  2. プラセボサプリを飲む

 

って2つのグループに分けて、12週間後に気分と認知を評価するテストを行ったんだそうな。すると、結果にはわりと明確な違いが出てまして、

 

  • クルクミングループは……
    • 12週間でワーキングメモリが改善!
    • 4週間と12週間の時点で疲労スコアが低下!
    • 4週間の時点で緊張、怒り、混乱、気分障害が改善!

 

みたいな違いが出たらしい。小さなテストなんで決定的なデータではないものの、個人的にはクルクミンはやはり気になる成分っすね。

 

 

 

オートムギが脳に良いかも?

オートムギが脳に良いかも?」みたいな実験(R)が出ておりました。オートムギは日本だとエンバクと呼ばれるハーブの一種で、「メンタルを活性する成分が入ってるよー」と昔から言われてたんですよね。

 

 

これは4週間のランダム化比較試験で、35~65歳の健康な男女132人を集めて、

 

  1. オートムギ抽出物430mgを飲む
  2. オートムギ抽出物860mgを飲む
  3. オートムギ抽出物1290mgを飲む
  4. プラセボサプリを飲む

 

って指示をした上に、全員が精神的なストレスを覚えるように誘導。そこから、みんなの認知、気分、メンタルの変化をチェックしたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • オートムギを1,290mgを飲んでから4時間後にだけ認知機能が改善した(860mgや430mgでは改善しなかった)
  • ストレスに対する身体の反応は、1290mgのオートムギを4週間飲んだ後に改善した(こちらも860mgと430mgでは改善なし)

 

というわけで、「ひょっとしたらオートムギには可能性があるかも?」と思わせる内容になってるわけですが、ちょっと難点を申し上げますと、

 

  • この試験は、オートムギのサプリメントを売ってる会社が資金提供してるよ!

 

ってとこですね。だからといって今回のデータが信頼性がないとは言わんですが、とりあえず鵜呑みにせず今後の展開を注目しておくのがいい感じです。
 

 

 

ビタミンDでアルツハイマーの認知機能が改善する?

最後に、毎度おなじみビタミンDに関するデータ(R)です。こちらのテーマは「ビタミンDがアルツハイマーに効くか?」というものでして、210名を対象に参加者にサプリの効果をチェックしてます。

 

 

いまのところ、アルツハイマーを予防したり、症状を遅らせたり、治療したりできる「これ!」といった解決策はないんですけど、最近の研究だと「この病気にかかった人はビタミンDのレベルが低いのでは?」と言われてまして、サプリが認知機能をサポートする可能性が言われてきたんですよ。そもそもビタミンDには神経保護効果がありますしね。

 

 

ってことで、このテストでは被験者を2グループに分けまして、

 

  1. 1日800IUのビタミンD3を間投与
  2. プラセボを投与

 

って感じで12ヵ月後に認知テストとAβプラーク前駆体(アルツハイマーの特徴)の血中濃度を測定したんだそうな。その結果、サプリを飲んだグループは有意に認知機能が改善し、Aβプラーク前駆体が減ったそうで、「どうもビタミンDと認知はやっぱ関係があるのかなーってとこですね。

 

 

まぁこれはあくまでアルツハイマーの患者さんが対象なんで、健康な人で同じような結果になるかは不明ですけど、脳のためにもビタミンD不足は避けておきたいとこっすねー。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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