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「どんなスキルでも2倍のスピードで習得できる方法」を実生活に活かしてみたらどうなったか?みたいな話

 

ストレス解消の目的で、電子ピアノを買ってみたのが2019年末のこと。それからボチボチ練習してたら、下手ながらもエリーゼとか悲愴第2楽章とかは弾けるようになりまして、「ベートーヴェン超ありがとう!(わりと簡単に弾けてそれっぽく聞こえるピアノ曲をたくさん残してくれてるので)」って気分になっております(笑

 

 

が、忙しくなるとさすがに1日30分も練習できないので、なかなか進捗が見られなくなっちゃうのも事実。そもそもの目的が「何か前に進んでる感じを作ってモチベーションをあげる」だったので、こりゃなんとかせんとなーとか思ってて思い出したのが、2018年のジョンズホプキンス大学論文です。

 

 

この論文の結論をざっくり申し上げますと、

 

  • 新しいスキルを身につけるスピードが2倍になる方法を見つけたよ!

 

みたいな内容でして、なかなかすごいことになってるんですよね。では、その「すごい方法」がどんなもんかと言いますと、

 

私たちが発見したのは、全く同じことを何度も連続して練習するよりも、マスターしたいタスクを少し修正したバージョンで練習すると、より多くのことをより速く学ぶことができるということだ。

 

って感じです。ピアノを同じように何度も何度も弾くのではなく、英単語のリストを同じように何度も何度も覚えるのではなく、ほんの少しの変化をつけて繰り返そう!ってことですね。

 

 

たとえばサッカーを習得したいなら、同じ場所から何度もシュートの練習をするんじゃなくて、

 

  • 前より角度を変えた位置から蹴ってみる
  • 前より1メートル離れた場所から蹴ってみる
  • 少し重いボールを使ってみる
  • ちょっと蹴るスピードを変えてみる

 

みたいに微妙な変化を加えてみたほうがいいわけですね。

 

 

なんでこっちの方が良いのかはまだよくわかってないんですが、おそらくは「いつも同じことをやってると脳が飽きるが、ちょっとした変化により刺激を受けてよく働くようになるから?」みたいに考えております。人間の脳ってすぐに飽きちゃうので、ちょっとした新規性を加えたほうがいいはずなんですよね。

 

 

というわけで、データを読み直したうえで、この手法を現実のスキル習得に活かすためのガイドラインを考えてみると、こんな感じになります。

 

  1. まずは普通に練習する:基本ができてないのに変化を加えると脳が混乱するので、とりあえずは2〜3回ぐらい普通に練習する

  2. 6時間の間を開ける:数時間ほどのスパンでいきなり再練習をすると、脳が記憶を定着させる余裕がなくなるので、研究ではトレーニングセッションのごとに6時間の間を開けている

  3. 微妙な変化を加える:6時間以上がたったら、先の練習にちょっとした変更を加えます。たとえば私の場合だったら、以下のようなものが考えられましょう。

    1. 前回よりスピーディに弾いてみる
    2. 前回よりゆっくり弾いてみる
    3. 特定の3〜4章節だけ練習しまくり、最後に全体を弾いてみる
    4. 楽譜を隠して練習
  4. 別の条件を変える:さらに次のセッションでは、前回とはまた違う変化を加えて再練習

 

って感じで変化を加えて行けば、理屈の上では習得スピードが倍になる……はず。ちなみに、ここで大事なのは「あんま大胆な変化を加えない」ってとこで、たとえば急に違う曲を弾いてみたりすると、脳が記憶の再統合を起こさなくなっちゃうんでご注意ください。あくまで微妙な変化を加えるのが大事。

 

 

そんなわけで、上記のガイドラインに従って、3週間ほどボチボチとピアノをやってみたんですが、その感想としましては………「うーん、よくわからん」ってのが正直なところです(笑。というのも、「もしこの手法を使わなかったらどれぐらいの進捗度だったのか」ってのがわからないんで、比較しようがないんですよ。まじめに検証するならば、同じぐらいの難易度の曲を用意して、この手法を使った場合と使わない場合で比べるしかないんでしょうが、ちょっとそこまでするモチベーションはないっすね……。

 

 

まぁとはいえ、「毎回ちょっとした変化を加える」ってやり方は、個人的には新鮮さをキープする効果は高いなーとは感じてまして、モチベーションアップにはいいんじゃないかと。あらゆるスキル取得に使える考え方なんで、覚えておくと便利じゃないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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