「結婚すると頭がボケにくくなっていいんじゃない?」というボストン大学のお話
結婚がアリかナシか?って問題については現在も議論が続いている状況ですが、新しいデータ(R)は「結婚すると頭がボケにくくなっていいんじゃない?」みたいな結論になっておりました。
これはミシガン州立大学の調査で、15,379人の男女を14年間にわたって追い続けた観察研究になっております。2000年の時点で52歳を超えていて、とくに脳機能に衰えが見られなかった人だけを選んだそうな。
研究はおもに電話インタビューの方法を使っていて、2年おきに全員に連絡を取って認知機能の変化をチェック。さらには、みんなの健康状態と人間関係のについても調べて、
- 離婚または別居した人
- 未亡人になった人
- 結婚したことがない人
- 結婚している人
の4パターンに分類した上で、すべてのデータをくらべたとのこと。
研究チームの問題意識はこんな感じです。
世界的に未婚の高齢者は増え続けており、その点でこの研究は重要だ。さらに人間の寿命が長くなるにつれて、私たちの結婚状態は大きな変化を見せつつある。
人間の幸福において結婚生活が重要な点はいうまでもないが、これが認知の発達におよぼす影響は見過ごされてきた。
「脳の機能を下げないためには人間関係が大事!」ってのはたくさんの研究で報告されてるとこなんで、当然ながら結婚も人間の脳に大きな影響をあたえるのではないか、と。そりゃそうですよね。
では、観察の結果どんな傾向が認められたかと言いますと、
- 結婚している人は、年を取っても頭がボケにくい
- 離婚した人は、結婚している人にくらべて2倍もボケやすい
- 離婚の悪影響は、女性よりも男性のほうが大きい
- 結婚したことがない人は、結婚した人に比べて42%ほど痴呆になりやすい
- パートナーと死に別れた人は、20%ほど痴呆リスクが上がる
ということで、とにかく「離婚はやばい!」って結論になっておりました。しかも、どんなに経済状況が良くても離婚しちゃうと痴呆のリスクは激増するようで、なかなか恐ろしいことになってますね。
ちなみに、2018年にボストン大学が行なった研究(R)でも、
- 結婚生活は認知機能に大きな影響をあたえる!(やはり未婚ほど脳機能が低下しやすい)
って結論になってまして、今回の結論にも納得と申しますか。そもそも近年では、他人との親密なコミュニケーションこそが最強の脳トレである!って見解も普通になってますし、その点で特定のパートナーとずっといれば脳が衰えにくくなるの当たり前かなーという気もするわけです。
が、その一方でカリフォルニア大学などは「独身の幸福」についても実証してまして、
- 結婚したせいで逆に人間関係がせまくなるケースもよくある
なんて話も出ております。結婚しちゃったせいで友だちや同僚との付き合いが悪くなり、親密なコミュニケーションの絶対量が減ってしまうパターンっすね。この場合は、結婚しても脳機能の維持には役立たない可能性もありますな。
まぁいずれにせよ、結婚しようがしまいが「良い人間関係さえ築いとけばOK!」って結論になりそうな気がしますねー。