光を点けっぱなしの部屋で寝ると33%も太りやすくなるぞ!という観察研究の話
「睡眠の質を上げたきゃ寝室は真っ暗に!」ってのはいまや常識ですけども、新しい研究(R)は「夜の光で太る!」って結論になってておもしろかったです。
これはコロンビア大学などの研究で、35〜74歳の女性43,722人を5.7年にわたって追っかけた観察研究になってます。具体的には、まず参加者に「いつもどんな環境で寝てますか?」ってポイントを尋ねたところ、
- 寝室の電気をつけたままで寝てる人(だいたい17,000人)
- 小さな光のなかで寝てる人(だいたい13,000人)
- 寝室のテレビをつけっぱなしで寝てる人(だいたい5,000人)
- まったく光のない部屋で寝てる人(だいたい7000人)
って内訳になったらしい。アメリカの人たちって結構ライトをつけっぱなしで寝てるんですねぇ。
で、以上のデータを全員の肥満率とくらべたところ、こんな結果になりました。
- テレビや蛍光灯をつけっぱなしの部屋で寝てる人は、過体重になる確率が22%上がり、肥満になる確率が33%上がる(暗闇で寝ている人との比較)
- 「少しだけ光がある部屋」(フットランプとか)と「真っ暗な部屋」をくらべた場合は、体型の変化に差はなかった
というわけで明るい部屋で寝ている人は、体重、BMI、ウエストサイズなど、あらゆるポイントがデブ方向に向かってしまうらしい。おそろしいですなぁ。
さて、このような結果を見ると、「光のせいで睡眠不足になって太るのかな?」とか思うでしょうが、どうも今回のデータに限っては違うみたい。研究チームいわく、
睡眠不足が体重の増加と相関するのは事実だが、それだけでは夜間の人工光と肥満の関係を説明できない。
夜間に人工の光を浴びている人には、睡眠が足りていようがいまいが肥満と相関が出た。たとえ7〜9時間の睡眠をしっかりとっていても、睡眠時の人工の光は肥満をもたらすのかもしれない。夜間の光を減らせば、体重増加の予防に役立つ可能性が高い。
とのことで、明るい部屋で眠ると睡眠が足りてても太っていくかもしれないんだそうな。これまた怖い話っすね。
と、ここで「明るい部屋で寝てる人は生活習慣が悪いのでは?」と思った方もおりましょう。電気をつけっぱなしで寝るような人は、夜食でお菓子を食べちゃったり、日中にエクササイズをしない傾向が強いのでは? という考え方ですな。
いかにもありそうな考え方ですけれど、やはり今回のデータでは否定されていて、
確かに夜間に電気をつけたままの人は夜食や生活管理レベルが低い傾向はあったが、これらの要素を調整しても人工光と肥満の相関は確認された。
だったそうです。どうやら、人工光そのものに肥満をもたらす原因があるっぽいんですよね。
人類は遺伝的に自然環境の光に適応して進化してきた。日中には光が差し、夜間には暗闇になるのが自然だ。夜間の人工光は、おそらくホルモンの分泌を乱し、肥満のような健康リスクを上げるのかもしれない。
ということですんで、いまいち原因はよくわからないものの、ちょっと前にも「明るい部屋で寝るとメンタルを病む」ってデータもありましたし、やっぱり寝室は真っ暗にしとくに越したことはなさそうですねぇ。