今週半ばの小ネタ:赤ワインで腸内細菌が増える、ゴシップの科学、心拍変動で不安改善?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
赤ワインで腸内細菌が増える
赤ワインで腸内細菌が増えるのでは?ってのは昔から言われている話。というのも、赤ワインにふくまれるポリフェノールは腸内細菌の良いエサになるんで、おかげで善玉菌が増えやすいと考えられるんですよ。
で、新しくロンドン大学から出た論文(R)も、「赤ワインで腸内細菌が改善するよー」って結論になってていい感じでした。
これは916人の女性を対象にした研究で、
- 普段から飲んでいる酒の種類をチェック
- 全員の腸内フローラをチェック
- 2つのデータをくらべる
ってデザインで「酒と腸内フローラ」の関係を調べたところ、
- 赤ワインをよく飲む人だけは腸内フローラのの多様性が大きかった!(つまり、腸内にいろんなタイプのバクテリアがいた)
- ビール、白ワイン、スピリッツなどは、腸内細菌の多様性と相関がなかった
って結果だったそうです。研究チームいわく、
赤ワインが心臓の働きに良い可能性は、昔からよく言われてきた。その原因の一部は、腸内細菌叢に良い影響を与えるからなのかもしれない。
とのことで、やっぱポリフェノールって腸内にもいいんだなぁって思いを新たにしましたね。
といっても、近年では「酒は一杯でも悪影響」って考え方が主流なんで、積極的に「赤ワインを飲もうぜ!」といは言いづらいところです。なので、
- どうしても酒が好きな人は赤ワインをどうぞ
- 別に酒がなくても問題ない人は普通にブルーベリーをどうぞ
ぐらいの話になるでしょうね。
みんなどんなゴシップを話してるの?
「人間はゴシップを好む生き物である」ってのは多くの実験が示唆するところで、これは大昔に人類が他者の情報を交換しあって自己のサバイバルに活かしてきた事実の名残りだと考えられております。
で、新しい論文(R)は「多くの人は普段からどんなゴシップに花を咲かせているの?」って疑問を調べてくれていておもしろい内容でした。
これはカリフォルニア大学の研究で、
- 被験者にポータブルの録音デバイスを身につけてもらう
- それぞれの被験者の会話を2〜5日かけて収集
- みんなどんな噂話をしているのかをチェックする
ってデザインになってます。そこでどんなことがわかったのかと言いますと、
- 多くの人は1日に平均で52分を他人の噂話に使う
- といってもほとんどのゴシップはニュートラルな内容で、他人の悪口などは全体の15%に過ぎなかった
- 男女でゴシップの量に差は見られなかった
ってことで、ゴシップというと「陰口を言い合う行為」みたいな印象もありますが、実際はたんにニュートラルな情報を交換しあってるケースが多いみたい。
研究チームいわく、
ゴシップは、私たちに「集団内で何が起きているか?」に意識を向けさせ、他者との結びつきを強化する働きがある。
ってことで、ゴシップの機能が強調されておりました。ゴシップは用法を守ってお使いくださいってことですかねー。
心拍変動トレーニングで神経症傾向が改善するかも?
最後はアッカーランド大学が行った研究(R)で、「心拍変動とパーソナリティ」の関係をチェックしたものです。「心拍変動?何それ?」という方は、「「心拍変動」を鍛えれば自然とダイエットになるんじゃないの?説」をご参照ください。
で、この実験は106人の男女を対象にしまして、
- 全員のビッグファイブをチェックする
- 全員のパーソナリティを心拍変動と比較する
ってデザインになってます。その結果がどうだったかと言いますと、
- 心拍変動が高い人は神経症傾向が低い!
- ビッグファイブのその他の特性とは相関してなかった!
だったそうです。要するに、心拍変動が高い人は不安になりにくいよ!ってことですな。
まぁ「心拍変動を鍛えるとストレスに強くなるよ!」って話は昔もありましたんで、個人的には「さもありなんですなぁ」みたいな感想でした。やっぱ不安になりがちな方は、心拍変動をトレーニングしてみるのもありかもですな。