カリフォルニア大学研究者「結婚したほうが幸せとかうるせえな!」
アメリカ心理学会の総会で「結婚したほうが幸せとかうるせえな!」みたいな内容の発表(1)があって、おもしろかったです(もちろん、そうハッキリとは言ってないけど)。
正式なタイトルは「独身について誰も語らなかったこと」で、発表者はカリフォルニア大のベラ・デパウロ博士。数十年にわたって「独身の幸福」について調査してきた、ナイスな学者さんであります。
博士の主張はシンプルで、「独身を悪く言うな!」というもの。こと世間では結婚がもてはやされますが、実際のところ、そこまでメリットあんの?って問題意識であります。
というのも、ここ数年、科学の世界では「結婚は健康にいい!」が常識になってるんですよね。たとえば2014年のメタ分析(2)なんかを見ても、結婚してる人ほど寿命が長いって傾向がハッキリ出ております。これは世界的な現象で、日本でも既婚者ほど長生きだったりします。
が、いっぽうでこれらのデータは、あくまで「質の高い結婚は体にいい」って事実を述べてるだけだったりします。上の論文でも「仲が悪い夫婦関係は鬱病の原因になるかだダメだよね〜」って結論になってまして、そりゃそうだろうみたいな。
つまり、独身だろうが結婚と同じレベルの心理的なサポートさえあれば、必ずしも「結婚は最高!」って結論にはならないよなー、と。
そこでデパウロ博士が引き合いに出すのが、2015年に行われた調査(3)であります。アメリカの国民統計を使った研究で、全米の独身と既婚者の人間関係を調べまくったところ、
- 実は独身者のほうが、肉親や友人、同僚とコミュニケーションをとる回数が多い
- 既婚者のほうが意外と孤独だったりするケースも多い
みたいな結論だったんですな。結婚しちゃったせいで友だちとの付き合いが減っちゃう、おなじみのパターンですね。世間的なイメージに反して、既婚者は思ったよりも孤独らしい。
もうひとつおもしろいのが、2009年にマイアミ大学が手がけた研究(4)。こちらも結婚とメンタルに関する統計データを調べたところ、
- 自立した独身よりも、既婚者のほうが事故や災害でメンタルが悪化しやすい
- ただし、自立していない独身とくらべると、既婚者のほうが事故や災害には有利
みたいな結果だったとか。要するに、ちゃんと自分で稼いで暮らせている人は、既婚者よりも人生の不幸に強いってことですね。
デパウロ博士いわく、
世の中には、結婚を賞賛する人たちが多い。そのおかげで、既婚者やカップルは上に立ったような気分を味わうことができる。
ところが独身者は、独身バッシングのターゲットになりがちだ。そのくせ、配偶者と同じぐらい家族や友人と仲が良い人は、そこまでほめられたりはしない。
とのこと。既婚者のわたしでも、「40代を過ぎて独身のやつは何か問題がある」みたいな物言いを聞くと「ん?」と思いますので、そりゃあ独身の方はイライラするでしょうねぇ。
そんなわけで、いろんなデータを見る限り、あくまで大事なのは「良い人間関係」なので、別に結婚しようがしまいがどうでもいい話。下手に悩むよりも、いまの人間関係を大事にしたほうが建設的でありましょう。