筋トレを数十年サボってもOK?「マッスルメモリー」の効果はどこまで続くのか
「マッスルメモリーってなに?本当にあるの?」みたいなご質問をいただきましたんで、ちょっと書いてみます。
マッスルメモリーは、その名のとおり「筋肉に刻み込まれた記憶」のこと。過去にハードな筋トレさえしていれば、いったん運動を止めたとしても、トレーニングを再開することで素早くもとの筋肉にもどれる現象であります。
これはアスリートのあいだでは昔から有名な話で、大昔に現役を引退した選手が、トレーニングを始めたとたんに半年ぐらいで引き締まった体に復帰したりとか。わたしの体験でいうと、5年前ぐらいに骨折で半年ぐらい筋トレを休んでたんですが、いざ再開したら1カ月で筋肉が2キロも増えて驚いたことがありました。
で、「マッスルメモリーはどうやって起きるの?」って問題については、2016年にオスロ大学から出たレビュー論文(1)が参考になります。これによると、いったん筋トレで増えた細胞の核は、トレーニングをサボっても残り続けるというんですな。
ざっくりと図にすると、以下のようになります。
といってもイマイチわかりにくいので、会社経営に例えてみると、
- 小さい会社をデカくするために社員を増やす(筋トレで筋核が増える)
- 社員が増えたおかげで会社が成長!(筋核のおかげで筋繊維がデカくなる)
- しかし、世の中の景気が悪くなったせいで会社の業績が悪化(筋トレをサボって筋繊維が細くなる)
- それでも社員をクビにせずに景気が良くなるのを待つ(筋核は減らずに残ったまま)
- 再び景気が良くなると、社員が残っていたおかげですばやく業績が復帰!(筋核のおかげで筋肉がすばやく復活)
みたいな感じです。現実の会社とは違って、景気が悪くなっても筋肉は社員をクビにしないわけですね。すごい温情経営(笑)
では、この「マッスルメモリー」がどれだけ続くのかと言いますと、
「マッスルメモリー」は、かなり長期にわたって人体に記憶され続ける。少なくとも、筋核は15年は安定した状態を保ち続けるし、場合によっては半永久的に筋肉に残る可能性もある。
みたいな感じ。最低でも15年ってのは凄いですねー。もしケガや病気で2〜3年ぐらいトレーニングができなくても、それまでの頑張りはムダにならないわけですな。すばらしい。
ちなみに、年をとるほど筋核は増えにくくなっていくんで、子供のころから筋トレはやっといたほうがいいとのこと。アラサーから筋トレを始めたわたしにはツラい話ですけど、まぁ何歳になっても筋肉は増えますんで、やるんなら今ですよってことで。