ストレスが多すぎても少なすぎても幸福は減る
ストレスが多すぎても少なすぎても幸福は減る
当ブログではいろんな「ストレス対策」を紹介しておりますが、ちかごろ読んだレビュー論文(1) では、「ストレスは少なすぎても良くないから気をつけて!」と注意を呼びかけておりました。
これはニューヨーク州立大学の論文で、過去に行われた「ストレスと幸福」に関するデータをまとめたものでありあます。
たとえば、ある実験では、2,000名に対して「過去にあった最悪のできごとを教えてください」とインタビューを決行。病気やケガ、両親の離婚、身内の死、自然災害、虐待といった経験を事細かに聞いたうえで、現在のストレスや人生の満足度を2年にわたって記録していったらしい。
その結果わかったのは、
- 過去に超ヒドい体験(性的虐待とか)を受けた人は、やはり現在でもストレスが多く、忍耐力がない傾向があった
- ただし、過去に甘やかされまくって何のストレスもなかった人も、現在の人生の満足度が極端に低い傾向があった
みたいな感じ。過去のストレスが多すぎても少なすぎても、現在の幸せは破壊されてしまうんだ、と。
脳は適量のストレスで鍛えられていく
さらに別の実験では、腰痛に悩む患者さんたちにも同じように過去のストレス体験について尋ねたらしい。その結果はやはり同じで、
- 過去にストレスが多かった人ほど、現在の腰痛が悪化しやすい傾向があった
- 過去に何のストレスがなかった人も、現在の腰痛がヒドかった
というものだったんですね。腰の痛みとメンタルが連動しているのは有名ですが、どうやら過去に経験してきたストレスの量とも関係するみたい。
この現象について、研究者は「脳は筋肉のようなもんだから」と表現しております。なんにもトレーニングをしなければ筋肉は衰えていっちゃうけど、やりすぎるとカラダそのものが壊れてしまうわけですね。
つまり、運動は適量を守るのが大事なのと同じように、ストレスも最適なラインを探していくのが超大事。研究者いわく、
もちろん、悪いことは起きないほうがいい。いくら適度なストレスが良いからといって、悲劇的な体験の悪影響をみくびるべきではないからだ。
しかし、不幸な出来事にも良い面はある。そういった体験は、心のレジリエンスを養う手助けになるかもしれない。
とのこと。もちろん不幸な出来事は避けたいもんですが、どうしても嫌なことは起きるのが人生の常。ならば、せめて「これでレジリエンス(折れにくいメンタル)がアップしたぞ!」と考えたほうが生産的でよさそうですねぇ。
ちなみに、レジリエンスを鍛える方法としては、ウォーキングや筋トレなんかも 役立ってくれそうであります。あわせてご参照くださいませ。