「動きを意識する」だけで筋力が長期的に発達しまくるかもだ!みたいなメタ分析の話
「筋トレではマインド・マッスル・コネクションが超大事だ!」ってのはよく聞く話です。これは、育てたい筋肉を意識しながらトレーニングを行うことで、たとえばベンチプレスをするなら、「おっ!いま胸まわりの筋肉に力が入ってるな!また筋肉の盛り上がりが変化したな!」みたいに胸の筋肉を意識しながら重りを上げ下げしたり、「いま、バーベルがちゃんと良い軌道で動いているな!」みたいに腕の動きをモニタリングするわけですね。
このやり方が効果的だってのは結構なレベルで実証されていて(R,R)、だいたいの結論をまとめておくと、
- 外的集中=ダンベルやバーベル、腕の動きのように、外部に意識を向けるタイプの筋トレは、急性期のパフォーマンスを向上させる可能性がある
- 内的集中=育てたい筋肉の働きに意識を向けていくタイプの筋トレは、筋肉の成長を向上させる可能性がある
ってあたりはかなり期待できそうであります。まぁ、そう言いながらも、私が筋トレをする際はラジオをながら聞きしてたりするので、実践はできてないんですが……。
といったところで、新しいメタ分析(R)では、「マインド・マッスル・コネクションで長期的に筋力は上がるか?」って疑問を徹底的に掘り下げてくれててありがたかったです。上にも見たとおり、外部に意識を向けるタイプの筋トレは短期的にパフォーマンスをアップするので、短いあいだは筋力をあげてくれるはずなんだけど、果たしてこの効果は長期的に見ても維持されるのかって問題ですね。
これがどんな研究かと言いますと、
- マインド・マッスル・コネクションを使って、短期間の筋力への影響を調査した7つの研究を調べる
- マインド・マッスル・コネクションを使って、長期間の筋力への影響を調査した3つの研究を調べる
- すべてをまとめたうえで、マインド・マッスル・コネクションに効果について精度が高い結論を出す
みたいになります。ここであつかった参加者の数は全部で228人でして、メタ分析としてはやや心もとない数ではあるんですが、それなりに信頼度が高い結論が出ているかと思うわけです。
で、分析の結論です。
- 外部へのマインド・マッスル・コネクションは、短期的な筋力パフォーマンスを有意に高めることがわかった(SMD=0.34;p<0 .001="" li=""> 0>
- さらに長期的な筋力の発達についても、外部へのマインド・マッスル・コネクションによる効果が確認された。この効果の大きさは、短期的な筋力パフォーマンスに対する効果の大きさとよく似ていたが、統計的ま有意性の基準を満たすことができなかった(SMD = 0.32; p = 0.11)。とはいえ、著者チームは、下半身の筋力発達についてもサブ解析を行っており、外部へのマインド・マッスル・コネクションのメリットを確認している(SMD = 0.47; p = 0.02)。
ということで、外部へのマインド・マッスル・コネクションは、長期的に見ても筋力の発達に役立つことがわかったわけですね。めでたいですなぁ。
まぁ、まだ決定的なことを述べるには時期尚早って感じはしますけど、結果は概して肯定的ですし、筋トレ中に腕の動きやダンベルの軌道などに注意を向けるで、短期的に筋力がアップするだけでなく、長期的に筋力の発達が向上する可能性は高いと言えましょう。つまりは、
- もっと筋肉を増やしたい!=育てたい筋肉に意識を向けながら筋トレを行う
- もっと筋力を増やしたい!=体の動きやバーベルの動きに意識を向けながら筋トレを行う
って感じで使い分けしてみるとよさそうっすねー。自分も心がけてみるかな……。