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今週半ばの小ネタ:自撮りで人間の魅力は上がるか? 友人で自分の魅力は上がるか? 酒で自分の魅力は上がるか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

 

自撮りはせよ!しかし、ネットに投稿はするな!

自撮りと他撮りはどっちが魅力的なのか?」ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。これはトロント大学などの調査で、198人の大学生を集めて、

 

  1. みんなにネットに投稿しても良いと思うレベルの自撮りを撮らせる
  2. 研究者がみんなの写真を撮る
  3. 別の学生たちを集め、上で撮った写真の魅力度と好感度を採点させる

 

みたいなデザインになってます。自撮りと他撮りでどっちが良いのかを、採点させたわけですね。

 

すると、結果は自撮りに不利なものになってまして、

 

  • 普段からよく自撮りする人ほど、他の人が撮った自分の写真よりも、自分の自撮りの方が魅力的で好感が持てると信じていた。

 

  • しかし、ほとんどの人は、自撮りよりも他人が撮った写真のほうが魅力的で好感度も高いと判断された。

 

だったそうです。研究者いわく、

 

自撮りする人は、一般的に、自撮りした写真が持つポジティブな属性を過剰に認識している。

 

と言ってまして、要するに、自撮りを何度もしていると、そのうち自分の顔の欠点よりも長所ばかりに目が行くようになり、自分の魅力レベルを間違えやすいんだ、と。

 

ってことは、この研究を現実に活かすのであれば、

 

  • 自分の気分を良くしたいときは、自撮りをたくさんするが、その写真はネットにはあげない
  • マッチングアプリなどに写真を上げるときは、他人が撮った写真を使う

 

みたいになりますかね。ナルシシズムに満ちた自撮りをネットにあげるのだけは、避けたいものですねぇ。

 

 

 

最初はイケてない友人とつるめ!しかし、最後はイケてる友人とつるめ!

80年代の論文を読んでいたら、「周囲の友人が魅力的であるべきか?」を調べたデータが2つ出てきまして(R,R)、これがどちらも興味深い内容になってました。

 

 

「周囲の友人が魅力的であるべきか?」ってのは、たとえば私たちがパーティーなどに行くときに、「自分をできるだけ魅力的に見せたいなら、自分より魅力的な友人とそうでない友人のどちらを連れて行くべきか?」みたいな問題のことです。なんだかゲスな問題設定ですが、ヒトの魅力は環境で決まるとこが多いので、この論点は避けられないとこなんですよ。

 

 

でもって、ここでおもしろいのが、この2つのデータは、期間によって結論が違っているところです。ヒトの魅力は周囲の仲間によって変動するんだけど、これらのデータを見ていると、短期と長期によって魅力の変動の方向性が変わるみたいなんですよね。

 

 

どういうことか、ざっくり申し上げますと、

 

  • 自分のパっと見の印象を上げたいときは、周囲を自分よりも魅力的でない友人で固めたほうがよい。これは対比効果と呼ばれる現象で、周囲にイケてない友人を配置することでコントラストが強くなり、友人よりも魅力的に見える可能性が高くなる。

 

  • ただし、だからといって、長い時間にわたって周囲をイケてない人間で固めてしまうと、今度は自分自身の魅力が下がってしまう。これは同化効果と呼ばれる現象で、ずっとイケてない人間と一緒にいると、「この人はイケてないグループの一員だから、魅力的でないに違いない」と判断されてしまう。

 

みたいな話です。自分を魅力的に見せるためには、短期的には自分より魅力的でない人を周囲に置くのがいいんだけど、そのままだと今度は自分自身の魅力が低下するので、気をつけようねーってことですね。

 

 

ってことで、こちらも現実の場面で活かすのであれば、対比効果と同化効果の両方を利用するのがいいんでしょう。たとえば、パーティーに行くときなどは、

 

  • 会場に入ったときはあまり魅力的でない人の近くに陣取り、自分の短期的な魅力的を上げる。
  • その後は、最もイケてるグループと積極的に交流して、その魅力的なグループの一員であることをアピる。

 

みたいな感じでしょうか。……とか書いてたら、すごくめんどくさい気がしてきたので、やはり私はできるだけパーティには行かないようにしようと思いましたが。

 

 

 

魅力を上げるには酒を飲め!しかし、飲みすぎるな!

ブリストル大学などの研究(R)では、「人の魅力は酒で変わるのか?」ってポイントを取り扱っていて、なかなかおもしろかったです。これは40人の男女を使ったテストで、どんなデザインだったかと言いますと、

 

  1.  みんながしらふの状態で顔写真を撮る
  2.  体重1kgあたり0.4gのアルコールを飲んで顔写真を撮る
  3.  体重1kgあたり0.8gのアルコールを飲んで顔写真を撮る

 

その後、すべての写真を別の第三者に見せて、それぞれの「魅力度」を採点してもらったんだそうな。飲酒の量によって人間の魅力度は変わるのか?ってことですね。

 

 

すると、アルコール量と魅力度のあいだには、以下のような関係性が確認されたそうな。

 

  •  体重1kgあたり0.4gのアルコールを飲んだときは、しらふの時よりも美男美女だと思われやすくなる

 

  •  体重1kgあたり0.8gのアルコールを飲むと、 逆に魅力度は下がってしまう

 

アルコールを摂取すると、ある程度までは自分の魅力度が上がるんだけど、摂取量が多すぎると魅力度は下がってしまうんだってことですね。まぁベロベロの状態になった人は、普通に考えて魅力的じゃないですもんね。

 

 

この現象がなぜ起きるかと言いますと、

 

  • 適度なアルコールを飲むと顔がほんのり赤くなるため、これが他人からの「この人は血流が良いから健康レベルが高いのだ!」との判断につながり、魅力度が増すのだと考えられる。

 

  • また、お酒による気分の改善も、その人を魅力的に見せているのだと思われる。

 

って感じです。アルコールによる頬の赤みが、健康レベルを示す指標になるかもしれないわけですね。

 

 

ちなみに、この実験で使われたアルコール量を現実に換算すると、

 

  • 体重1kgあたり0.4gのアルコール=体重が70kgの人の場合で、ワイングラス2杯、ビール大ジョッキ1杯、ウィスキーダブル1杯、日本酒1合に相当する。

 

って感じになります。こうしてみると、基本的には酒は1杯までなら魅力度アップにつながるぐらいに考えておくのがいいかもですねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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