ハーバード大学「もっと長生きするために必要な1週間の運動量はこれだぜ!」
「健康のためにはちょいツラめの運動を週150~300分やろうぜ!」ってのが、いまの常識なわけです(R)。過去のデータをまとめると、だいたいこれぐらいの運動をしていれば、長生きできると考えられてるわけですね(これに加えて週に2回の筋トレをするのも大事)。
が、新たにハーバード大学が行った調査(R)では、
- いま推奨されてる量の2〜4倍ぐらいの運動をしたほうが長生きするぞ!
って結論になってておもしろかったです。4倍ってのはなかなかの数字ですねぇ。
これは30年間(1988~2018年)にわたって実施された2つの調査を分析したもので、116,221人ものデータをチェックしたうえで、研究チームはこんな結論を出してくれております。
死亡率の低下との関連がほぼ最大となったのは、週に150~300分の激しい運動、週に300~600分の少しきつめの運動、またはその両方を組み合わせた場合だった。
ってことで、激しい運動ならだいたい1日50分、少しきつめの運動ならだいたい1日120分の運動を行うことで、寿命の伸び方がマックスになるんじゃないか、と。確かに従来の見解をだいぶ上回る結論ですね。
ちなみに、今回の分析では、「激しい運動」の定義を「6メッツ以上のエネルギーを使用する活動」と定義しております。メッツってのは、いろんな活動をするのに必要なエネルギー量で、たとえばイスに座った状態は約1メッツ、通勤時の自転車は約5メッツ、階段の上り下りやゆっくりしたジョギングでは約6メッツ、速く走ると8~10メッツが消費されます。つまり、この研究でいう「激しい運動」ってのは軽いジョギングレベルってことで、これを1日50分なら達成できそうなラインではありますね。
さらに細かい目安を示しておくと、「軽いジョギング」ってのは、時速5.5〜6.5キロぐらいだとお考えください。このレベルのスピードだと、中等度から強度の有酸素運動に変わり、6メッツ以上を使用するようになりますんで。
念のため、分析の結果をさらに細かくまとめておくと、以下のようになります。
- 従来と同じガイドラインに従い、週に150〜300分の中等度の身体活動(MPA)を行った参加者は、全死因による死亡リスクが20〜21% 低かった。
- 従来と同じガイドラインに従い、週に75〜150分の活発な身体活動(VPA)を行った参加者は、全死因による死亡リスクが19%低かった。
- 週に300〜600分(従来のガイドラインの2〜4倍)のMPAを行った参加者は、全死因による死亡リスクが26〜31%減少した。
- 週に150〜300分(従来のガイドラインの2〜4倍)のVPAを行った参加者は、全死因による死亡リスクが21〜23%減少した。
ということで、やはり多めの運動をしている人たちのほうが、良い感じで死亡リスクが低下してるんじゃないでしょうか。この分析では、有酸素運動の効果がマックスになるのは週600分(激しい運動の場合は週300分)で、それ以上は効果が止まる感じですね。
さらに余談ですが、これまでの研究では、マラソン、トライアスロン、自転車レースといった高強度の持久エクササイズは、心臓や血管の病気リスクを高めると言われております。さすがに、マラソンぐらいの運動だと体に悪いんでしょうけど、今回のデータを見ると、多くの専門機関が推奨する運動ガイドラインの2倍〜4倍の運動を行っても、心房細動、冠動脈石灰化、心筋線維化、心臓突然死のリスクは増加しないみたいっすね。
研究チームいわく、
この発見は、いくつかの先行研究で観察された、高レベルの身体活動による有害な影響への心配を軽減する。推奨される最低活動量の4倍以上の活動を行った成人にも、心血管の健康への有害な影響は認められなかった。
今回の研究は、私たちが健康を維持するために、個人が生涯にわたって適切な身体活動の量と強度を選択することを導くための証拠を提供する。我々の発見は、現在の国の身体活動ガイドラインを支持し、さらに、中程度から高レベルの中等度または活発な活動、またはその組み合わせを行うことによって最大の効果が得られる可能性があることを示唆している。
とのこと。現在の運動ガイドラインが間違ってるわけじゃないものの、より多くの運動をすることで、さらなる寿命の延長効果を得られそうであります。私の場合、いまのところ中程度と高強度をあわせて週に1000分以上の運動を行ってる感じなので、もうちょい減らしてもいいのかなーとか。