内向的な人が幸福に長生きする方法ベスト3
世の中には外向的な人間と内向的な人間の2種類がいますが、多くのデータでは、「外向的な人のほうが幸福度は高いよねー」って結果が出てたりします。内向人間の私としては切ないデータながら、外向的な人は他者とのコミュニケーションを自然に楽しめるので、人生の幸福を味わいやすいのは当然でしょう。
ただし、ベイラー大学などの先生方が近ごろ出した論文(R)は、「内向人間が3つのポイントを押さえれば、外向人間よりも長生きできるのでは?」ってのを提案してくれていて、非常に参考になりました。
具体的な内容に進む前に、まずはこの文献が「内向的な人」をどう定義しているのかと言いますと、
- 考えたり、内省したり、日々の経験をじっくりと考えたりする機会を非常に好むタイプ。
- 自分の内面を探求し、「ひとり」の時間をめっちゃ楽しむタイプ。
って感じです。他方で外向人間は、人と一緒にいることを楽しみ、刺激が得られそうな状況が大好きなんで、まさに真逆のタイプですね。
で、ここでどんな実験をしたのかと言いますと、
- 467人の健康な学生を集める。
- 学生たちに簡単な競争をさせてストレスを与える。
- ストレスを感じている学生たちの心血管系の反応を調べる。
- さらに全員の内向レベルをチェックして、↑のデータと比較する。
みたいになります。要するに、この研究チームは、内向人間と外向人間はストレスに対する反応が違うんじゃないかと考えたわけですな。
その結果、何がわかったかと言いますと、
- 内向人間ほどストレスに苦痛を感じやすかった(心理的にも身体的にも)。
ってことで、どうやら外向的な人はと心理的なストレスに強く、そのおかげで心血管系へのダメージも少ないかもしれないんだそうな。
というと、「おい!健康面でも内向人間のほうが不利じゃないか!」って気がしますけど、ここで研究チームは、過去の文献を参照しながら、おもしろい指摘をしておられます。
- 健康的な外向人間は、ストレスをあまり感じないというわけでなく、経験したストレスを処理するのがうまいのだと考えられる。
-
しかし、高齢者を調べた研究によれば、実は内向的な人のほうが長生きする傾向を示唆している。
なんでも、外向人間は内向人間よりストレスに強いにも関わらず、長期的には長生きする内向人間が多いんだそうな。不思議なもんですねぇ。
残念ながら、このチームが行った実験では、内向人間が長く生きる秘訣までは明らかにできないんですけど、現時点では、
- 健康な外向人間が使っているストレスコントロールの技術を応用すれば、実は内向人間のほうが長生きできるのでは?
などと推測されます。内向人間の弱みはストレス耐性のなさなので、そこさえカバーできれば、より寿命を延ばすことができるかもしれないぞ、ってことですね。
健康な外向人間が使うストレス対策は、具体的に以下の3つです。
- ストレスのリフレーミング:健康的な外向人間は、ストレスの多い状況でも、よりポジティブな態度で臨むことが多い。これは「認知的再評価戦略」と呼ばれ、たとえばスポーツの競技に参加して緊張が高まったら、「競争相手=自分が負けるかもしれない相手」と考えるのではなく、「これは楽しいゲームなのだ!」と捉え方を変えて、目の前の状況への対応を変えてみる方法です。これは、以前に書いた「『不安』だろうが『興奮』だろうが、カラダに起きている状態はまったく同じ」って考え方に近いですね。
- 肉体の変化だけを意識する:健康的な外向人間は、ストレスのせいで心拍数や血圧が上画ったら、「あ、心臓がドキドキしている」「手が軽く震えてきた」のように、肉体に起きた変化だけを意識する傾向が強め。他方で、不健康な内向人間は、「こんなに手が震えてるなんて緊張しまくりだ!」「心臓のドキドキを抑えないと!」みたいに、肉体の変化から多くのことを考えてしまう傾向が強めだったりします。
これを、ひたすら「心臓が速く鼓動している……」ぐらいにとどめるように意識すると、自分の内面を見つめるのが得意な、内向人間の性質をうまく利用できるはずであります。 - 同じ境遇の人を助ける: 健康的な外向人間は、自分がストレスを感じたら、あえて同じことに悩んでいる他人を助ける行動を取るんだそうな。これによって、「悩んでいるのは自分だけではない」との気持ちが生まれ、緊張のバランスを取ることができるんだそうな。このメカニズムは内向人間にも同じように働くので、もし自分と同じような悩みを抱えた人を見たら、積極的に手を差し伸べてみるといいでしょう。
ってことで、以上の話をまとめると、内向人間はストレスに弱いせいで人生の幸福と寿命に悪影響が出てしまうかもしれないんだけど、正しいストレスマネージメントを学ぶことで、より充実した時間を過ごせるようになるはず。私も上記の3つはすべて意識しているものの、あまりにストレスが強いと忘れがちなんで、気をつけたいところです。